11主人公 ページ11
「おねーさんは、名前なんて言うの?」
樹くんが話題を変えて私に質問してくれて、帰る選択肢は薄れて行く。
「あ、私はAAです」
「Aちゃんね、俺は樹!歳は?」
「えーっと・・・24・・・です」
「え!嘘!まじ!俺らとタメじゃん!敬語やめよーぜ!Aちゃん」
樹くんは嬉しそうにそう言ってくれけど、私は絶対この子たちより年上だと思っていたから正直驚いた。
チャラチャラして見えるからガキっぽく見えたのかもしれない。でもなぜか同じ歳とわかったら親近感が沸いて安心したし、私もちょっと嬉しくなる。
「よろしくね、樹くん!京本くん・・・」
チラッと隣を見て言うと京本くんはすました顔でたばこを吸ってる。
やっぱりこの人とは仲良くなれそうにないな・・・
やっぱり気まずいし帰ろ・・・・
「樹くん、今日はご馳走さま!お会計・・・」
今日のお会計をしようとしたときに気が付いた。昨日の代金払ってない・・・!!
「樹くん!ごめん!私昨日お会計してない・・・」
「あ、ううん!きょもが払ってくれたよ」
「え・・・」
咄嗟に京本くんを見てみても相変わらずすました顔。
「あ、すみません。私払います」
そう言って財布からお札を出すと「いらない」と言ってビールを口にする。
「でも、昨日迷惑かけた上にお会計まで・・・さすがに申し訳ないです」
無理矢理京本くんにお札を渡すと、迷惑そうな顔をして「いいから」と少しイラついた声を放った。
「きょもがいいって言ってんだから甘えなよ。男もかっこつけたいときもあんの!」
そう言って、樹くんはニコニコと今日の飲み代の領収証を私に渡した。
「ありがとうございます・・・」
会計が終わって一人店を出る。
樹くんは外まで来てくれて「また来てね!きょもと仲良くね」と言いながら手を振って見送ってくれた。
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作者名:えーじ | 作成日時:2019年11月19日 23時