・ ページ3
兄ちゃんの電話から約1時間がたった。
雨はまだ降り続けている。
さっきより酷くなってる、？
雷も鳴り止まず、定期的に激しい音が聞こえる。
そろそろやばいかもな…。
そのまま床にごろん、と寝転がったとき、頭に何かが当たった。
「いてっ、なに、？」
手に取ったそれは私のスマホだった。
櫻『無理ならすぐ言えよ？』
さっきの兄ちゃんの言葉が頭の中で再生される。
……電話かけてみよっかな。
いやでも兄ちゃんにとってはあんまないオフだから私が邪魔するわけにもいかないし…。
私の頭の中の天秤が揺れてる。
それから約30分後、私はようやく決心して兄ちゃんに電話をかけてみることにした。
『プルルルル…プルルルル…プルルルル…』
だが、兄ちゃんは出ない。
やっぱ忙しいよね。
予想はしてたけどやっぱりちょっと悲しい。
不安の気持ちが更に強くなったのを感じる。
目頭が少し熱くなってきた。
どうしよう…どうやって乗り切れば…
その時だった。
『ピーンポーン』
とうちのチャイムがなる。
「…誰？」
ドアを開けるとそこには兄ちゃんが立っていた。
「…え、」
櫻「Aのために兄ちゃんが来てやったぞ」
「兄…ちゃん…」
私の目から涙がこぼれ落ちる。
私は兄ちゃんに抱きついた。
櫻「うぉっ…っはは(笑)やっぱまだダメじゃん」
「っふ、やっぱ無理だわっ……」
櫻「さすが俺だな(笑)」
私と兄ちゃんは部屋に入り、座る。
「やっぱ兄ちゃんにはバレちゃうか…」
櫻「当たり前だろ？だって俺兄ちゃんだし」
「…ありがと」
櫻「うん。…っは(笑)泣くなよ(笑)」
兄ちゃんは私の涙を拭き取る。
「まじで怖かった…兄ちゃん電話出ないし」
櫻「あ、電話かけたんだ、ごめんごめん、スマホ家置いてきちゃって」
「いーよ別に。来てくれたから」
櫻「俺が家に来てちょっと怖いのなくなった？」
「……大分なくなった」
櫻「それは良かった(笑)」
兄ちゃんは私の頭に手を乗せる。
櫻「てか本当Aって素直じゃないよな。すぐ俺呼べっての」
「いや、いけると思ったんだよ」
櫻「今度からすぐ呼ぶこと、な？」
「…いいの？」
櫻「当たり前だろ。すぐ駆けつけるからな」
「っ、うんっ」
その日、兄ちゃんは雨が止むまでずっと一緒にしてくれた。
本当に良い兄ちゃんだわ。
私は更に兄ちゃんを好きになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：RIN | 作成日時：2020年7月17日 6時
