gからの内通者【wrwrd!】 (ページ21)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:25,446 hit

鷹の瞳ページ21

口調は穏やか。
しかし目が鋭すぎる。
まるであれは獲物を見定める鷹だ。
やはり、書記長を倒してしまったのが仇になったか。

gr｢グラシア、賢い君だ。俺から何かを察しているな？｣

お前は気づいて当たり前だとでも言うような口振りだ。
えぇ、総統閣下。
貴方の思惑通りに私は動いていますよ。

『…予想はしていましたから。』

あそこまで派手に動いて怪しまないわけが無い。
ただ、恐らく私を信用していないのは“2人”だけ。
だから他の幹部に聞かれないここを選んだんだ。

ただお茶会をするのであれば、プライベートな空間ではなく庭でも食堂でもどこでも良かったはずだ。
なのに彼はここを使った。

あともう1人私を疑っているのは外交官であろう。
ただ彼がここに居ないことを考えると外交官はまた別で動く予定と見受ける。

『残念ながら、貴方が望むような存在ではありませんよ。』

gr｢いいや、お前はとても面白い。俺のジョーカーだ。｣

私が道化師？
面白いことを言ってくれる。
きっと、私は彼の手のひらに乗せられそうになっている。

黙っていると、彼の手が頬に伸びた。
いつもの黒い革の手袋は外され、白く骨が浮き出てる手が触れてきている。

『…女性に触れるのはどうかと思いますよ。』

gr｢大抵の女は泣いて喜ぶんだがな。｣

『残念ながら、私はただの駒です。』

そう、国の駒。
ただチェスとは違い、反則をし、裏切る駒だ。
彼の手をそっと退けて、微笑む。

『国に命を捧げた、軍人ですよ。』

総統は少し面食らったようだ。
しかしまたすぐにニヤリと笑う。

gr｢君とはトン氏並に長い付き合いになりそうだ。｣

g国と戦争しない限りな。
心の中でそう毒を吐く。

『光栄です。』

この総統にはどこまで見られているのだろうか。
どちらにせよ、任務を遂行するまでだ。