gからの内通者【wrwrd!】 (ページ20)

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チョコレート・ホリックページ20

gr｢初めてにはチョコレートという麻薬ではなく、こちらをオススメするゾ。｣

そう言ってグルッペンはパンのようなものとジャムやクリームを出してくれた。
見たことがない。

gr｢これはワッフル。こっちがスコーンだ。ここはプライベートな場だから作法はあまり気にするな。｣

とは言うものの、父…というか他の人に叩き込まれた。
しかも身体は覚えている。
いつも通りすると、相手は興味深そうに目を細めていた。

『どうかされました？』

gr｢随分と綺麗だなと思ってな。｣

『これが普通だと思いますが。』

gr｢そうか。｣

スコーンから食べてみることにした。
クリームは食べたことがないので先に口にする。
とても甘くて、美味しい。
夢中で食べていると、クスリと笑われた。

gr｢スコーンでこれなんだ、チョコレートから始めなくて良かった。｣

『なんでチョコレートはダメなんですか？』

彼は私が持っていたプラリネを摘んだ。
赤いプラリネはグルッペンの瞳と同じ色をしている。

gr｢チョコレートは麻薬だ。少量であればやる気を高めたりしてくれるが、依存性がある。｣

『初めて知りました。』

gr｢そうだろうな。安価で合法的に溺れられる宝石、というわけだ。｣

溶けそうなプラリネを舌にのせてゆっくりと味わっている。
それにしてもこの総統は不思議だ。
新入りなんかとこうしてお茶をして。
平和ボケしすぎでは？

『…平和ですね。』

思わず口に出してしまった。
だがこの言葉に彼は賛同する。

gr｢良い事だ、無駄で退屈な戦争が無い。｣

『もっと、緊迫した雰囲気なのかと思ってました。』

gr｢ここがか？そりゃあ戦争の時はそうなる。だがそれ以外で切羽詰まる意味ないだろう。戦争は好きだが、無駄な戦争は嫌いだ。｣

他国に噂が流れるほどの戦争狂では無いようだ。
少なくとも、目の前にいるのは紅茶を飲む甘いものに目を輝かせている細身の男性。
この男が他国から恐れられている総統なのだ。
不思議で仕方がない。

gr｢…なあ、g国はお前にとってどうなんだ？｣

時が止まる。
いや、正確には私がそう感じただけ。
できるだけ当たり障りのない答えを出す。

『…恐ろしい以外は、良い国でした。』

gr｢そうか。ご家族は？｣

『分かりません。…今度、手紙を出してみようかと。』

gr｢そうしろ。我々の所にいると知れば、あちらもそう手出しはできまい。｣

私は理解した。
まだこの人からの疑いがあまり晴れていないことを。