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No.28 ページ30

「芥川龍之介です。以後お見知りおきを」





目の前に跪く黒い外套を着た青年に、時祢は目を瞬かせた。



中也との訓練の途中、彼が中也への伝言の為訓練場を訪れたのだ。



そして中也が去り際に時祢が太宰の妹であることを伝え、今に至る。





「太宰時祢。宜しく、芥川さん」



「芥川で結構です」



「…じゃあ、龍でいい?」





芥川は驚きつつも其の呼び方を了承した。



というか神の如く崇めている太宰の妹の言葉だ、聞かない筈が無かった。





「龍は治お兄ちゃんを知ってるの?」



「はい。僕は太宰さんに拾われました故」



「…一寸此方に来て」





突然、時祢が芥川の手を引いた。



そして訓練場の端に置かれた簡易的な救急箱を開き、芥川を座らせる。





「外套を脱いで」



「え…はい」





芥川が躊躇いつつ外套を脱ぐ。



時祢は矢張り、とでも云うような目で芥川を見た。



芥川の体には、処置もしていない傷が大量にあった。





「手当する」



「いえ、時祢さんの御手を煩わせるわけには…」



「良い。それと、さんは要らないし敬語も要らない」





そう云い乍ら手際良く傷を消毒し、処置を施していく時祢。



以前手当に関する本を読んだのが、思わぬところで役に立った。



無事手当を終え、時祢は芥川に外套を返した。





「傷は手当てしないと駄目」



「はい…………分かった」





敬語を使うとジッと見詰められ、芥川は諦めた。



時祢はこくりと頷く。



そして芥川と時祢は、芥川の意向により太宰が居ない時に限り、時偶話すようになった。

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麗葉 - 大好きすぎて気づいたら四回も?読んでました(笑)体調に気をつけて頑張ってください! (2023年5月2日 21時) (レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 本当にそうよねえ奥さん←←もう先生は私を苦しめようとして来てるとしか思えないですよ…小学校卒業して「よっしゃマラソン大会無い!」からの長距離走があった絶望感…(´・ω・`) (2019年1月1日 23時) (レス) id: 424c23822c (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ホントですよ…マラソン大会とかは真面目に荒そうかと思いましたよ…ホント、やぁねぇ奥さん← (2019年1月1日 20時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 大丈夫ですよ!立ち眩みは現在学生の私でも日常茶飯事ですから…………orz 体育の長距離とか本当にもう……………………殺しに来てますよ…(´・ω・`) (2019年1月1日 14時) (レス) id: 3546326a0b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 1km全力疾走?アハハ…知らないの?僕ヒキニートだから歩くだけで立ち眩みするのw( °∇^)] (2019年1月1日 13時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月14日 11時

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