包帯無駄遣い装置の妹さん【文スト】

No.26 ページ28

｢時祢、あったか？｣



｢無い｣





織田作と時祢は、二人で或るマンションの一室を漁っていた。



事の発端は、非番の筈の織田作に掛かってきた電話。



下級構成員の一人が、仕事に必要なUSBを紛失したらしい。



家の中で失くしたらしく、一緒に探して欲しいと頼まれたのだ。



今日は一日、夕方に太宰が帰るまで織田作と過ごす予定だった時祢は手伝いをしている。



織田作が棚の上などを探していると。





｢あった｣





時祢が声を上げた。



彼女はソファと床の小さな隙間に入れていた手を出し、握っていた手を開いた。



其処には、紛れもないUSB。





｢あ、あったのか!?｣





青ざめて血眼になって探し回っていた構成員が時祢に駆け寄る。



時祢は頷いて其れを彼に差し出した。



構成員は泣きながら時祢に礼を云った。



下級構成員でも知れる内容とはいえマフィアの情報が入ったUSBだ。



見付からなければどうなるかなど、考えたくもない。





｢仕事は此で終わりか？｣



｢嗚呼!織田、嬢ちゃん、恩に着るぜ!｣





二人は無表情で彼に返事をして、手を繋いで立ち去った。



因みに構成員は、確り二人が兄妹か親戚だと勘違いしたという。

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