包帯無駄遣い装置の妹さん【文スト】

No.10 ページ12

｢治お兄ちゃん、起きて｣





朝。軽く体を揺さぶられて目が覚めた。



初めてのことに少し驚きつつ、重たい瞼を持ち上げると、私と同じ鳶色の瞳が目に入る。





｢時祢…｣



｢八時。紅葉姐さんとの買い物、九時半から｣



｢もうそんな時間か…｣




誰かに起こしてもらうということに少し擽ったくなり乍ら体を起こした。



私の家にベッドは一台しか置いていなかった為、二人で眠ったのだ。





｢そういえば、時祢は何時に起きたんだい？｣



｢五時｣



｢えっ｣





予想外の答えに遂驚きの声を洩らす。



時祢の話によると、以前居た孤児院では朝五時に起きて、朝食作りや雑用を熟していたようだ。



体に染みついた生活習慣の所為で目覚めたは良いが此処では孤児院のような雑用は無い為、昨晩適当に買ってきた材料で朝食を作っていたらしい。





｢時祢、有り難うね｣





頭を撫でると、時祢は猫のように目を細めた。



撫でられるのは好きらしい。



私はベッドから出て軽く身支度を調えてから、リビングに行った。



机の上には、何時ぶりか分からない程のちゃんとした朝食が並べられている。



私達は向かい合って座り、二人で手を合わせた。






｢｢戴きます｣｣





私は料理に口を付けて、驚いた。



迚も美味しい。





｢時祢は料理が上手だね｣



｢有り難う｣





それからは二人共黙々と箸を動かしていたが、不思議と気まずさは感じなかった。



完食した私達は二人で食器を洗い、時祢には昨日の小袖を着せて姐さんとの集合場所に向かった。

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