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その日の妓楼。
「そういえば今朝物凄い色男いなかった？」
「いたいた！誰が相手したの？」
「Aじゃない？」
遊女の一人が、私を指差す。
すると、その遊女たちは可笑そうに笑ってきた。
「ちゃんとご奉仕してあげれた？」
『何も…していません』
「は？」
『啓悟様は、ただひとりで窓の側で朝を迎えられました』
ぽかんとする遊女たち。
それもそうだ。他の客と指名が被って一緒に過ごす時間がなく放置され続ける、所謂"振られた"わけでもない客が指名した遊女と一晩中一緒にいたというのに手も出していないなんて
「やっぱりAには女としての魅力が足りないんじゃない？」
「だから何もしてもらえなかったんだ」
分かってる。自分に女の魅力がないなんて。
男を拒み続けていたら、当然そうもなるでしょ。
「何もしてあげられないAの代わりに、私がその啓悟サマのお相手してあげよっかぁ？」
あぁ、せっかく朝元気付けてもらえたのに
啓悟様のあの優しい言葉も、薄れていく
「こら、人を揶揄う暇があるならちゃんとお稽古なさい」
「吉野姉さん！」
ぱんっ、と叩かれた吉野姉さんの合掌によって、遊女たちは琴の練習や、張見世に並びに戻っていく。
吉野姉さんは噛み締めていた私の唇を緩くなぞり、自然と力を抜けさせた。
「唇が傷付いちゃうわよ。お客様が残念がるわ」
『私と唇を重ねるお客様なんていませんよ』
「もう、相変わらずね」
眉を下げて笑う吉野姉さんは、今日も美しい。
私もこんな風になりたいと憧れていた時期もあったけど
私は男に媚を売ることなんて出来なくて、諦めた。
「Aは才能あると思うんだけど。綺麗で、それでいて可愛らしい。男を惹き寄せる何かを持っているのに」
『嬉しくないですよ』
「夢がないわねぇ」
『吉野姉さんは夢あるんですか？』
「もちろん。好きになった相手に身請けしていただくこと」
『全遊女の夢ですね。一体それを叶えられる遊女が何人いるのやら』
この世界は残酷だ。
勝ち残ったごく僅かな遊女だけが幸せを掴める。
それ以外は皆、病気や精神の崩壊で死んでいく。
年季が明けても外に出れば、夜鷹になる者が大半。
負け組の私は、一生この鳥籠の中から出ることなく
不幸に人生を終えるんだろう。
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sana＊(プロフ) - riさん» コメントありがとうございます！私の作品一覧で読めませんかね？🥺もしかするとアプリの占ツクではなくサイトの方でR18閲覧設定していただくと表示されるかもです！🤔 (2022年12月19日 8時) (
レス) id: 35c21c90ed (このIDを非表示/違反報告)
ri - 同タイトルの色はどこで読めますか？好きすぎて好きすぎて夜も眠れません… (2022年12月17日 18時) (レス) id: cadfa640a8 (このIDを非表示/違反報告)
sana＊(プロフ) - 楽夢音さん» ありがとうございます！！😭💖🙏わぁ！すごく綺麗なお名前になったんですね！😳 (2022年8月18日 3時) (レス) id: 35c21c90ed (このIDを非表示/違反報告)
楽夢音 - sana＊さん» あ、名前がそーだから、楽夢音(らむね)になりました！ (2022年8月16日 21時) (レス) id: e55e7d41e1 (このIDを非表示/違反報告)
楽夢音 - sana＊さん» そうなんですね(*^^*) sanaさんのペースで頑張りすぎないよう更新頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ 応援してます！ (2022年8月16日 21時) (レス) id: e55e7d41e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sana＊
| 作成日時：2022年7月5日 8時
