影山飛雄の姉【ハイキュー】

夜久さん＊ ページ29

誰が助けてくれたのだろう。

そう思って後ろを見た。



『あ、ありがとうございます！黒尾さん、夜久さん』


私が倒れるのを防いでくれた二人は、黒尾さんと夜久さん。

夜久さんとか割と遠くにいたのに…申し訳ない。


『…あ、あの助けてもらって申し訳ないんですけど』

夜｢ん、どうした｣

『…夜久さんの手…胸…』


そう言うと音速の速さで手を退ける夜久さん。


夜｢……申し訳ございません｣

『あ、そんな！こちらこそ助けて頂いてありがとうございます！黒尾さんも！』

黒｢いや俺はいいけど…やっくん顔真っ赤だよ｣

夜｢うるっせぇしね！！｣

黒｢ぐぇっほ｣


夜久さんが黒尾さんに回し蹴りを食らわせる。


『すみません黒尾さん…』

夜｢影山、んなもんほっとけ｣

黒｢俺の人権！！｣


倒れている黒尾さんを申し訳なく思っていると、横からおずおずと話しかけられた。


孤｢あの…｣

『孤爪くん？どうかした？』

孤｢…おれの足…引っかけて転けた、から｣

『あ、こちらこそごめんね。怪我しなかった？』


目を合わせてくれない彼を覗き込みながらそう言った。


黒｢Aちゃん流石〜｣

『そんなんじゃないですよ…大事な選手の足なんで』

夜｢お前も影山の寛容さ見習え｣

孤｢…クロどさくさに紛れて下の名前呼び…｣

夜｢うわ…｣

黒｢俺のメンタルズタズタなんだけど｣


下の名前呼びくらい良いですよ別に。そう言おうと思ったけどやめた。

今の倍くらい面倒になりそうだったから。


『…あ、そろそろ戻ります』

黒｢戻る？引き止めてごめんね｣

『いえこちらこそ色々すみません…夜久さん、貧相なもの触らせてすみませんでした』

夜｢…それは本当に悪かった｣


音駒側から離れて潔子さんの方へ走る。




清｢Aちゃんどうしたの？｣


戻って早々潔子さんに抱きついたため不思議に思われるのも仕方ないと思う。


縁｢音駒となんかあった？｣


あの時は転けて色んな感情が混濁してたけど、落ち着いてきた今、やっと心臓がバックバクだ。

それと同時に夜久さんに申し訳ない気持ちが混み上がってくる。


『…羞恥と申し訳なさが凄い』








その頃音駒では、Aが去った直後、夜久が頭を抱えてしゃがみ込んだ。

大きなため息をつきながら。


海｢見てたよ。お疲れ｣

夜｢…超キモい事言うな？……どこが貧相だよ｣

黒｢めずらっし。まあ見たまんまだけど｣

夜｢超自己嫌悪…影山ほんとごめん｣

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