影山飛雄の姉【ハイキュー】

及川徹は天才ではない ページ16

日向くんが調子を取り戻して入ったファイナルセット。

烏野のマッチポイントで、及川さんがピンチサーバーに入る。

及川さんのサーブ、最近また強烈になったと聞く。


今の烏野のレシーブ力では不安しかないが、それ以上にやっぱりわくわくする。


ピッという笛の合図と共にサーブが放たれるのだが、最初の｢宣言｣通り、蛍ちゃん狙い。


『うっはは…やば』


思わず乾いた笑いが漏れる。

もう蛍ちゃんの腕が心配とか、烏野追いつかれるんじゃ？といった不安は吹っ飛んだ。

それほどまでに強烈な威力と抜群のコントロール。


『うーん…飛雄も出来そうなんだけどなあ』


何が違うのか、何が足りていないのかなんて明白だけど。






『私、及川さんは努力の天才だと思うんですよね』




いつの日だったか、及川さんにそう言ったのを思い出す。



飛雄は天才だ。

でも俺は天才じゃない。

俺は、飛雄には勝てない。


そう弱音を吐く及川さんが珍しくて、でも何だかそれ以上にムカついて。


励まそうだなんて一切思ってなかった。

ただ、私の怒りに似た気持ちを、その日ぶつけた。




及川さんは天才じゃない。




そんな事分かっている。

でも努力する事が出来るのだって、一種の才能だ。

努力が出来ることの素晴らしさを及川さんは分かってなくて、なんだかムカついた。



それ以降及川さんに会うと、前より何だか明るい顔をしていた。

岩泉さんにも何か言われたのだとか。

そして、今みたいな絡み方をされるようになった。

及川さん曰く、


及｢自分の弟を嫌いなやつにあんな風に言っちゃうなんて、本当意味分かんなくて面白いね｣


だそうだ。


私からすれば及川さんの方がよっぽど意味分かんないですけどねって言ったら、何故か大笑いされた。


及｢ほんと、そういう馬鹿さは飛雄ちゃんそっくり｣

『飛雄の馬鹿さと一緒にしないでくれませんか』


そう言うとまた笑う。

｢そういう事じゃないんだってば｣だなんて言われても分からない。




そして、今のサーブを見てやっぱり改めて思う。



『…ほら、やっぱり努力の天才だった』



烏野が押されているにも関わらず、今の及川さんを見て何故だか嬉しくなって、思わず笑みが零れる。

その様子を隣の英ちゃんに見られていたらしく、顔を顰められる。




国｢姉さんさっきから何ニヤニヤ笑ってんの…頭やられた？｣


『ほんっと失礼だなお前ってやつは』

おわり→←及川登場

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