47 ページ47
．
Aは『そんなまさか』と肩を竦めるも、「いい？ 絶対だからね」と月島に強く念を押され、結局はその圧に押し切られてしまった。
こんなにも楽しいビッグニュースを声高に叫べないだなんて残念だと肩を落とすAに、スマホを返却しながら月島が言う。
「それに、わざわざ報告するほどの事でもないから。僕はここに住み始めてもう一年が経つけど、同じ階に住んでる人と通路で遭遇した事なんて数えるほどしかないし。今日みたいな偶然がなきゃ、きっとお互いに気づかないままだったと思うよ」
『へ〜。そんな低確率で出会えたんならなおさら運命だね私たち』
「君はいい加減脳直で言葉を発するのやめなね。あんまり軽はずみな発言ばっかりしてると兄に言いつけるよ？」
『わはは、どうぞご自由に』
ただし、それを伝えてしまえば二人が出会った経緯まで話す必要が出てくるだろうけど。
ハイっと手元に戻って来たばかりのスマホを笑顔で差し出すと、月島の指先がズムッと脳天に落ちて来た。
つむじを押されると下痢になる、などという科学的根拠のない迷信を信じるようなAではないが、シンプルに痛くて『ひぃッ』と自分の頭頂部を押さえて前かがみに上半身を倒す。
『下痢ツボはやめてよぅ……』
「女の子が下痢ツボとか言わない」
『お。ツッキーの目から見ても私ってやっぱり女の子？』
月島の一言にコロッと表情を変えたAが、何事もなかったかのように身体を起こして、自身の少しだけ伸びた髪の毛に右手を通して払う仕草をする。
『部活辞めてから伸ばしてみたの。どうかな、可愛い？』
『ふふん』と不敵に口角を上げるAに、対する月島はのっぺりとした無表情で「カワイイカワイイ」とロボットのように同調した。
『実は私、"男の棒読みは全て照れ隠しだと思え" って一与くんの遺言を真に受けながらこの歳まで生きて来てるんだよね』
「一与くんが最期にそんな言葉遺すわけないだろ」
『ツッキーが一与くんの何を知ってるって言うのさッ！ まぁ嘘なんだけど！』
「君との会話は労働以上にカロリー消費が高い気がするよ僕は。ぜひ誇って」
巧みで陽気な戯言ばかりを並べるAに、月島がほとほと疲れ果てた顔で言う。
それをあえて額面通りに受け取って笑うAが、『それで、私は可愛いの？』と脱線を許さず月島に追撃した。
「あ〜もう……。分かった、可愛いよ。すごく可愛い。似合ってます。ほら、これで満足した？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 907人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メケメケ(プロフ) - とお。さん» とお。さ〜ん！🙌私にこんな画力はありません！お借りしたイラストです！笑 ですが褒めていただけて嬉しいです、ありがとうございます☺️一人の女の子にだけ弱々なツッキーを綴っていきます！笑 (2月29日 14時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - みりかさん» みりかさん！またしても「天才」ありがとうございます！恐れ多いですが嬉しいです！笑 (2月29日 14時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - 玲衣さん» えーーとっても嬉しいです！！😭🙏 こちらこそ素敵な褒め言葉ばっかりいただいちゃって感謝感激です！これからもこの調子で進んでいきますのでぜひお楽しみください！☺️ (2月29日 14時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
とお。(プロフ) - トップのイラスト、もしかしてメケメケさんがお描きに…！？美しすぎます😍ツッキー永遠に振り回されてくれ…… (2月29日 10時) (レス) id: c8ec7d17da (このIDを非表示/違反報告)
みりか - ほんと……天才です………(2回目) (2月29日 7時) (レス) id: 2c07cb6f0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年2月17日 17時
