【HQ】無理して、好き。【稲荷崎】

33 ページ35

·



『ンも"〜〜〜〜！！！！！』

「Aうるさい！」



自分の部屋でバタバタ暴れていると、お母さんから怒られた。
だって、もうわからへんねんもん。

ここ数日、ずっと、



「…………あ、Aさんおはよう」

「Aさん、お疲れ」

「お、また明日な Aさん」



以前のように宮(治)くんが話しかけてくるようになった。少し気まずそうな顔をしながら。
でも前のように教科書借りに来たりとか、用もないのに教室に来るとかはなくて。

すれ違う時、たまたま会った時に声を掛けてくれる。

……なんで？私、あんなことしたのに。酷いこと、言ったのに……。
宮くんは傷付いてるんやないの？私のこと、避けたいはずやろ。
なのに、どうして。

もうわからへんくて、考えたくない。
やることあるのに、今はもうしたくない。何もせず、寝てしまいたい。






翌日



「ほな、孤森さんお疲れ様〜！」

『またなー』



今日は掃除当番で、放課後残っていた。
ほかの当番の子も、掃除が終わると次々と帰って行く。私もはよ帰ろ。

帰る準備を終え、鞄を持ち教室を出る。
……そう言えば、宮くんって1組やったな……と思いながら1組の前を通る。















「＿＿＿＿＿＿Aさん？」






『………………え、』

「やっぱり。Aさんや」



1組の教室から出てきて声を掛けてきた宮くん。

……今日も、その前も、ずっと。どうして声掛けてくるん？



「……今帰り？」

『…………掃除当番で』

「あ、俺も俺も」



そうやって目線逸らして気まずそうな顔するんやったら、話しかけてこんくていいのになあ。



「一緒やな」

『……っ！』



宮くんの笑った顔、久しぶりに見た。
私のこと嫌なはずなのに、なんでそんな風に笑うん……？



「あんな、実はずっとAさんと話したかってん」

『……え？』

「Aさんに話しかけてこんで欲しいって言われてからずっと、ああ Aさんは俺のこと嫌いなんやなって思っててん」

『っち、ちが＿＿＿＿＿＿』

「でも俺のこと嫌いやないらしいからさ。俺、もっとAさんと話したい。もし嫌じゃなければ……ええか？」



私、宮くんに何にも言ってないのに…………。



＿＿＿＿宮くんのことは嫌いやない。ごめんって、それだけ伝えといて



まさか、宮侑か？
私のこと、あんなに嫌そうにしてたのに、宮くんに言ってくれたんか？



「……あかん、か？」

『……っあ、あかんくない！』

34→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す