【HQ】無理して、好き。【稲荷崎】

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髪の毛は染めたくなかったからそのまんま、化粧は薄くして、スカートは平均より少し短いくらい。

その時の私は自分が好きやった。自分のしたいように、なりたい自分になれてる気がしてたから。

クラス替えをして、色んな人と関わるようになった。



「Aって髪の毛染めたらもっと可愛くなるんとちゃう？」

『そう？』

「せやで、化粧とかももうちょい濃いほうが絶対モテるで！」

「このアイシャドウとかどうや？」

『えっ、いいの？』



放課後、友達の家で化粧をしてもらった。髪の毛も、自分で染めることの出来るもので染めた。

新しい自分に会えるような気がしてわくわくした。



「出来た！見てみ？」

『うっ、わぁ……』



友達にしてもらった化粧は、いつも私がしているのよりとても濃くて、私には合わないと思ってん。

こっちの方が可愛いかもしれんけど、私には合わん。自分が嫌いな化粧してたって楽しくない。



『ありがとう……でも、これはちょっと濃いかなぁ』

「そうかな？」

『おん、私もっと薄めのが好きやし、ちょっと合わんかもなぁ』

「えー、私がせっかくやってあげたのに。もういいよA」

「そうやって新しいことにチャレンジすることが怖いんちゃうの、ダッサ」



ちょっと待ってや、私は自分の意見を言っただけやで。
なのになんでこんなに言われなあかんの。こんな人友達でもない、友達になんかなりたない。

ああでも、それ以上に

1人になりたくない。



『……ごめん、私が間違ってたわ。この化粧、すごくいい感じや！』

「せやろ！？」

「じゃあこの機会にスカートも短くして！髪の毛の色もこのままでいこうや！」



こんな私、好きじゃない。

でも、人に流されてる自分がどうしようもなく、嫌で嫌でたまらない。

こんな私、大っ嫌いや。

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