【HQ】無理して、好き。【稲荷崎】

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宮くん(治の方)と連絡先を交換して数週間が経って、私の周りが色々変化した。



「Aさんおはよう」

「なあ、教科書貸しへてくれへん？」

「バレー部の練習見に来て欲しいねんけど」



あれからというもの、宮くんがよく私に話しかけてくるようになってしまった。これといった用事がない時も、わざわざ教室まで来て挨拶だけして帰って行ったり、購買にいる時に話しかけてきたり……。

…………何故や？宮くんは何をしたいんや？
宮くんからのメッセージもたくさん来るからよく返してるけど、わからへん。

可愛い訳でもない、有名な訳でもない、同じ高校の同じ学年の普通の私に、何でこんなことをするのか。……わっからへん。

そして遂には



「あっ、あの……！狐森先輩ですよね？お、治先輩とどういう関係なんですか！？」

「3組のAちゃんよな？なあ、治くんと付き合ってるってほんまかな？」



こんなことまで言われるようになってしもうた……。
私が恐れていた 宮治ファンからの尋問 まで起きてしまった。
最悪やあ……私はただ、普通の高校生活を送りたいだけやねん！

なんで私ばっかり。宮くんに直接聞きや。



『ただの……知り合いやで？ほんまに。別に宮くん狙ってるとかやないから安心してや』

「……………………ふぅん？」

『私、宮兄弟には微塵も興味無いねん、色んな意味で』

「そっか。そこまで言うんなら本当っぽいわ！ごめんな、なんか急に変なこと訊いてもうて〜！」

『……いや、大丈夫やで』



ほんまよ！！こんなこと私に聞いてくるんやないわ！一生な！！！
私の平穏な高校生活を返せ！！！！

それでも、



「Aさん、1個前の時間体育やったんや？お疲れ様」

「お、これから帰り？またな」



宮治くんは止まらへん。私が素っ気ない返事しても、学校でもスマホでも、話しかけてくる。
私は、揶揄われているんやろうか。



変化したのは、これだけやない。



『なあ、次の移動教室一緒に行こ＿＿＿＿＿＿
(あれ、居らん。置いてかれた？)』



「でさ、その後にさ〜」

『その話私にも聞かせてや！』

「…………お、おん」



「お腹空いた〜」

「確かに！なあA！お金渡すから菓子パン買って来てや！」

『え、あ、うん……。わかった、行ってくる』



いつも一緒にいるグループの友達の様子が、なんだか可笑しいような気がする。
……私だけ、仲間から外されているような。

自分ではなにかしてしたって心当たりは無い。
けど、なんとなく予想はついている。

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