18 ページ20
Osamu side
校門を目指し走っていると、後ろ姿のあの子が見えた。
良かった、間に合うた……!
「Aさん!」
あの子の名前を、いつの間にか声に出していた。
「さん」でええよな?馴れ馴れしくないし、嫌われたりせんよな?
恐る恐る彼女見ると、とても目を見開いて驚いていた。
「良かった、間に合うた……」
『えっ、どしたん。てか 名前?え?』
「あんたの友達から名前聞いてんけど、下の名前しか分からんくて」
『そ、そおか……』
Aさんは少し気まずそうな顔をした。
……そらそうや。特に関わりもない 少し話したことがあるくらいの俺が勝手に名前を知って、話しかけてきて。
それでも、俺は彼女との繋がりを求めている。
この子と これからも、この先も関わりを持っていたい。
言うんや、俺。
「……電話番号、交換せん?」
『へ?』
「嫌やったらええねんけど、交換したいねん」
『え、何で……?』
なんだか照れくさくて、Aさんから目を逸らしてそう言った。
理由を言うのが恥ずかしくて。変やって、可笑しいって思われへんやろか。なんて言うたらいいかわからんくて、頭をくしゃっと掻いた。
不思議そうな目で俺を見る彼女を見て、もう言うしかないんやって思った。
「Aさんとの繋がりが欲しいねん。……あかん?」
少し間を開けて、Aさんはええよって言ってくれた。
どないしよ、めっっちゃくちゃ嬉しい。
連絡先一覧にいる彼女の名前。
狐森Aさんっていうんや……。やっと ちゃんと名前を知れた。
「…………よっしゃ」
喜びが抑えられんくて、小さな声でそう言うた。
もう少しだけ話していたいけど、片付けやらなあかんし、ツムにも何か言われて面倒くさくなりそうやし……。
「片付けあるから、そんじゃまたな」
『うん、またね……』
Aさんに背を向けて、走って体育館に向かう。
緊張してたのか、大きなため息が自然と出た。
暇な時とか連絡してええんよな……。だって、連絡先知ってる訳やし。
彼女との Aさんとの繋がりが出来た。こんなに嬉しいなんて。
「うわあかん……にやける…………!」
思わず口に出してしまった。でも、それくらい嬉しい。
この後の片付けに、少しだけやる気になった。
212人がお気に入り
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
榁井(プロフ) - ゆたそさん» コメントありがとうございます!更新お待たせいたしました! (2023年3月21日 1時) (レス) id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
ゆたそ(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2023年3月18日 7時) (レス) @page34 id: 8dd546cbdc (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - 素因数分解さん» コメントありがとうございます!女の子同士の関係は結構現実味あるように書いたので、そう言っていただけてとても嬉しいです!応援も嬉しいです、ありがとうございます(*^^*) (2023年2月27日 0時) (レス) @page31 id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - めっっちゃくちゃ面白いです...!今後のサムとの関わりやツムとの関係がどうなっていくのかとても楽しみです。女子友との関係もリアルでとてもゾワゾワしました。更新頑張ってください。応援しています-`📢⋆ (2023年2月25日 23時) (レス) @page29 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - ヲタクさん» こちらこそ2度もコメントしていただきありがとうございます!侑には少し口悪くなってもらいました(>_<;)侑のお話も書いていくので楽しみに待っていただけたら嬉しいです!(´˘`*) (2023年2月25日 19時) (レス) @page29 id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:榁井 | 作成日時:2020年3月15日 18時