不平等なんて、私だけ II【月島蛍】

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教室に戻り、自分の鞄から裁縫道具を取り出す。
他のマネさんたちは、明日の準備をしたりお話したり 各々好きなことをやっている。
消灯まで時間もないし、ぱぱっと直してしまおう。

ガサ。
紙が擦れるような音が鞄の中から聞こえた。ごみかなんかが入っちゃったのかな……？
鞄から出した手には丸められた紙が。開いてみると、



『……え、』



【部活やめろ】の5文字が。
その字はとてもガサツに書かれていて。読めなくはないが綺麗とは程遠い字だった。

やっぱりこのような言葉は少し傷つく。どこの誰か知らないけど、頑張っていることを否定されるのは悲しいな。



『…………ふふっ』



あまりにも典型的すぎて。ありがちな展開に少し笑ってしまった。今までされてきたことに比べれば、こんなの痛くも痒くもない。まあ少し痛いけれど。

この紙の人とジャージを切った人が違う人だとは考え難い。きっと同じ人がやったことだろう。
それに、この教室に入ってきたってことは、マネージャーの誰かの可能性が高い。



『はあ、疲れるなあ……』



こんなことを考えても誰がやったかなんてわからない。とりあえずこの切られたジャージを直すことに集中しよう。

私は裁縫バッグから針と糸を取り出した。







「…………っなに笑ってんだよ」



＿＿合宿遠征3日目



『おはようございます……』

「おはよう〜」



遠征3日目の朝。
今日は眩しいくらいの晴天だ。太陽が眩しくて、いつもよりも暑い。



「いや〜今日は暑いな！絶対辛い」

『大地さん。おはようございます』

「おう、おはよう！今日は一段と暑いからな、Aも気をつけて水分取れよ！」

『は、はいっ』



大地さんに頭を軽くぽんぽんと撫でられた。
……なんだか今日は頑張れそうだ。



『＿＿＿＿よし、』



ドリンクも作り終わって、タオルの準備もした。
午後になって暑さが増して、みんなの汗の量が増えた気がする。さすがに大変そうだ。



「あっ、帰ってきた」



ペナルティの坂道ダッシュが終わった烏野のみんなが戻ってきた。
さあ、ドリンクとタオルを＿＿＿＿





『…………また、無い？』

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