【カゲプロ】ろすとめもりー。【短編集】

サジタリウスの矢 ページ16

「Aちゃーん！！」


ぇ…なに、いきなり。



なぜか妙にハイテンションらしいカノ。


寝起きの私とはえらい違い…。




「ねぇねぇ僕のこと好きー？？」


うわぁ…これまた突拍子もないことを…


そうだなぁ、好きか嫌いかで答えるとするなら…




「まぁ…ほどほどには好きかもね」


「ほどほど…？」



ふーん…、なんて曖昧に返してきた。


私としては可もなく不可もない素晴らしい答えだったと思うのにどうも気に食わなかったらしい。


まぁそこに異を唱えられたって困るんだけど…。




「ま、いいや……ところで喉乾いてない？お茶でものむ？」


おぉ、ちょうど良かった。

何か飲みたいなと思ってたところだよ。


お茶を受けとってゴクリと飲み干す。



もう一眠りしようかと横になったら不思議なくらいの睡魔に襲われた。



「…おやすみ、Aちゃん」



ニッコリと笑うカノが薄目で見えた。








「んー…よく寝た〜」


「あはは、おはよ〜」


ぇっ……。



ドクンと心臓がはねた。

カノが…さっきと違って見える。



「実はまだみんな帰ってきてなくてさ〜」


あれ、あれっ…


カノってこんなにカッコよかった？



どくんどくんと心臓がうるさい。



「なんか電車が止まっちゃったんだって。だから今日中には帰れないかもってさ」


クスリと笑うその仕草全てが愛おしい。


なんだか目が離せなくなる…



「か、カノ…」


「んー？」



「あのね、私っ…」





“カノのことが好きになっちゃったかもしれない ”




そういったら、



待ってたと言わんばかりに口角を上げた。


fin

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