いちごオレしか。【stym】 (ページ9)

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episode9 ページ9

『…ふぅ。』

あの後、ころんくんとは駅で別れた。
少しだけ名残り惜しそうにしてたのはなんでだろ

そこらの家と何ら変わらない一軒家
そこに私は足を運び込む。

鉛のように足が重く前に進まないのは多分

"家に帰りたくない"と思っているから。

勇気を振り絞って玄関の扉を開けた。

『ただいまー。』

「…ああ、おかえりなさい、帰ってたのね」

この人は私の"お母さん"。

やっぱり私のこと気づいてなかったか。

素っ気ないのはいつものこと。

『うん。"お母さん"、今日のご飯なーに？』

私は気づいてないフリをしてあくまでいい子を
演じ続ける。

「今日は貴女の好きなハンバーグよ。」

『やったー！！ありがとう！"お母さん"!!』

それでも、私は"お母さん"に、いや皆に愛されたいから。

ホントの自分を隠し続けるの。

「はあ、分かったから手、洗ってきてちょーだい」

『はぁーい』

"お母さん"はため息を吐きつつそう零した。
でも、私の家はこれがいつも通り。

私は洗面所に行き、手を洗い、顔を洗おうとした＿＿

『不細工だなあ、』

鏡に写った自分はあまりにも醜く、酷い顔で
これ以上見たくなくて、そのまま2階の自分の部屋
へと駆け込んだ。

『私は、結局…ひとりぼっち、なのかな、』

ベッドの上小さく零したその言葉はそのまま
誰にも届かず消えていった。

ころんくん……

『たすけて、、、』

ふと脳裏に浮かんだ彼の笑った表情

その表情が何故かこびりついて離れなかった。