いちごオレしか。【stym】 (ページ35)

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episode34 ページ35

「あの‥！！」

病院に真っ先に入った僕はすぐさま受付へ

「えっと‥どうされました？」

「え、あっ…」

やばい。どうしよう

無我夢中で来たのに、今更怖いなんて

せっかくの覚悟が台無しじゃないか

「やっぱり僕、、皆が居ないと＿＿＿」

だめ、なんだ。

泣きそうになりながらも右袖でぐいっと涙を拭い、

そう言って踵を返し帰ろうとした時

「ころちゃん！！」

病院の入口から僕の名前を呼ぶ聞き覚えのある声がして

反射的に振り向けば

そこには汗をかきながら息を切らした5人がいた。

まるで突如現れたヒーローみたいに。

正直びっくりした

まさかアイツらが来ると思ってなかったから。

「なんで先に行っちゃうんですか、」

「……」

「るぅとくんの言う通りだよ、ころちゃん‥なんで先に、」

全然分かってないんだ。結局誰も、みんな、皆

「ぼくの気持ちなんか分からない癖に、(ﾎﾞｿｯ」

「え、今なんて＿＿」

ああ、ここに居たら僕はまた…

少しでも信用しようとした僕がバカみたい

「くっっそ…」

あぁ、こんな自分も、何もかも嫌だ

むしゃくしゃして頭を掻きむしるが、

その感覚すらもう分からない。

アイツらのせいで時間ロスした…

面会時間大丈夫かな

なんて考えながら受付へ向かう

「すいません、Aさんの病室って‥」

「え？ああ、櫻井さんのことですか‥？分かりました」

案外すんなりと受け入れて貰えてびっくりした。

もっと何かあると思ったのに

「僕、私が面会時間過ぎてるのに通したこと秘密だよ〜？」

私、怒られちゃうから、なんて悪戯っ子のような表情
で笑う美人な女の人

その人は葉柚さんって言うらしい。

なんでも彼女とは昔からの知り合いだとか

「え、そんな、いいんですか‥？」

僕、あまり大人の女の人と話すの苦手なんだよなあ。

「大丈夫！遠慮しないで！じゃ、私見回り行くから!!」

「えっ、あ、はい…」

まるで嵐のような人だ。

バタンっと閉められたドアを僕は暫くぼーっと見つめていた

「‥A」