いちごオレしか。【stym】 (ページ33)

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episode32 ページ33

あんなの、ただの八つ当たり

そんなの分かっていた。

でも、でも。

皆彼女のことを否定してるような気がして

「ばっかみたい‥」

それは皆に対してなのか、自分に対してなのか

もう分からなくなっていた。

半ばやけくそで出てきちゃった僕には居場所はなく

暫く悩んだ末

スっと出てきた言葉は

「お見舞い、行こうかな」

彼女の笑顔が一刻も早く見たくて

それに‥あの時の夢の内容も気になるし‥(episode4参照)

何となく、なんとなくだけど

彼女がその夢に関係してる気がして。

ぽつり、そう呟いた

ﾓﾌﾞ「ころん‥？なんかあった？なんで泣いてんの」

え、泣いてるの、僕

でも何も感じ取れなくて

「な、なん、で‥」

ショックでなのか、

いつの間にか、感覚を失ったみたい

ﾓﾌﾞ「本当にどした‥？お前、大丈夫か？」

「え？あ、ああ、うん、まあ‥」

本当は全然大丈夫じゃない

何も感じ取れないなんて怖いに決まってる。

「僕、これからどうすればいいんだろ…」

何かに触れても触ってる…っていう感覚はない。

これじゃああの子に会っても…

「手も繋げないってこと‥？」

一気に僕は地獄へ落とされた気分

やっぱり喧嘩みたいなことしなければ良かった、かな

結局は

「僕のせい‥か」

でも

僕は"1人でも"あの子を救うって決めたから

「早く行かなきゃ。」

そうして僕はスクールバッグといちごオレを片手に

学校を後にした。

いつも通り女子の黄色い歓声も無視しながら。