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予想通り、りんごは酷く歪な形に仕上がった
俺はそんなりんごを前に、Aにどう声をかけようか迷っていた
『あ、できた？』
…そんな躊躇は不要だったようだが
彼女は俺がナイフを置いた音に気付き、本を置いた
｢ああ、だが形が歪になってしまった
やはり誰か他の人に頼んだ方が______｣
『あー』
俺がりんごを見つめながらそう呟くとAは口を開けた
『食べさせてよ』
｢…分かっ、た｣
そう言ってもう一度口を開けたAの口に、一番形が綺麗なりんごを運んだ
シャリシャリとした咀嚼音だけが病室に響く
『ん、おいしい』
Aはそう言って、頬を綻ばせた
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作者名：時雨 | 作成日時：2021年3月12日 23時
