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一緒に消えてしまえたらどんなに楽だったろうか。
霞みがかった薄ぼんやりとした思考でそんなことを思う。死ねたらどんなに楽だったか。結局はこの状況で死ぬ勇気なんてありはしないのだが。自嘲的な笑みが溢れた。
嗚呼全く、つまらない世界だ。
争いはなく、不要なモノから淘汰されていくこの世界。
なんて、何て何て何て、
「望みなんてないじゃないか……、」
少しの欠陥ができただけで淘汰されるこの歪な世界に希望なんてない。次は何が淘汰の対象になるのだろうか。
月の側でただ傍観しかできない自分が嫌になる。父神がいないこの状況で月にすがっているような自分が嫌いだ。父に何も言えない自分が嫌いだ。
長く伸びてしまった髪の毛をつまむ。白髪で緩やかなウェーブを描く髪の毛。なんだかこの世界の父に似てきてしまった。多分並んだらかつてのようにそっくりだと言われてしまうのではないかな。完璧な神でも人間でもない今の私にそんな機会なんてありはしないけど。
ゆっくりと瞼を閉じ、今日も意識を手放す。
起きたときにはまたこの世界について終わりのない正解を考えましょう。お休みなさい皆さん。起きたらまた世界は変わっているのだろうか。最近は周期も曖昧でよく分からない。
なんで私は淘汰されないのだろう。
それだけが不思議でたまらなかった。
「おやァ？！諦めはまだ早いのでありませんか？」
誰かの声が聞こえて意識が覚醒した。顔を上げるとそこにいたのは形のいい笑みを浮かべた道化のような男。「ン？おやおや、そんな顔をしてはどこぞの不埒者に狙われてしまいますぞ。まあそんなモノ、ここにはもうおりませぬが！」なぜここに。ここには神の力もない人間が近寄れるような場所ではない、はず、なのに。
奴はその顔をずいっと私に近付けてにやりと笑った。
「お暇なら拙僧と話でもしませんか？
変な男だ。こんな道化を誰が信じるだろうか、誰が言葉を交わすだろうか。気味が悪い、気味が悪い！
でも、
「……お前は、誰だ。」
私を私だと識別してくれる存在がいたことに、私は少しだけ心を許してしまったのだ。
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影印 - Ayakaさん» コメントありがとうございます。自分の中では最近ギャグ寄りの話が多いけど大丈夫かな…と結構心配になっていたのでその言葉がとても嬉しいです。 (2021年6月26日 15時) (
レス) id: 2648135176 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 面白いです。続きも頑張ってください！楽しみにしてます。 (2021年6月22日 19時) (レス) id: f23d5c420b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影印 | 作成日時：2021年5月22日 12時
