疲れてると悪ノリする ページ6
真顔。いや、虚無顔とはこういうもののことを言うのだろう。キッチンの…、抑止の守護者、エミヤはAの顔を見てそう感じた。大人がはしゃいでいる時のなんとも言えない、思春期に入ったあたりの子供の立ち位置と言うか感情やノリ。分かる、分かるとも。だからこそがんばってほしいものだ。そう思いエミヤは優しい目でAを見つめていた。
「ちょっとふざけないでよ！」
少しの間静かになっていた邪ンヌが叫んだ。「私はアンタたちの子供じゃないわ！」正論。正に正論。なぜか驚いた顔をする巌窟王とスカディ。「これが反抗期…？！」少し青ざめた顔でそう呟くスカディ、そしてそんな彼女をしっかりと支える巌窟王。そんな姿の二人はまるで本物の親のようで＿。と、これでは本当に家族ごっこではないか。周りは見守るだけで何も口を挟まず、疲労しかない頭で話を次々に展開していく二人…いや、三人。もはやAが同じ巻き込まれ仲間かと思っていた邪ンヌでさえそっちの世界に行ってしまったのだ。このおかしい空間に入り込めていないのはAただ一人である。自分が疲労状態で頭がおかしくなっていないということをこれほど悔やんだことはない。
「私はアンタたちの世話にはならない！私は、私は…！」
ぷるぷると何かに耐えるように拳を握りながら邪ンヌは言葉を紡ぐ。「おじ様のところで！世話になるんだから！」
「え、」
なんというタイミングだろうか。サリエリに世話になる発言と同時に扉が開いた。そこにいたのは話題の彼、サリエリであった。おじ様！そう言ってサリエリの元に駆け寄る邪ンヌ。丁度周回から帰ってきたところで疲れているに違いないだろうが、邪ンヌをきちんと受け止めてくれるあたり紳士さのようなものはどんな時でも忘れていないのだろう。
「…何かあったのか、」
首をこてん、と傾げながら自身の傍にいる邪ンヌに問いかけるサリエリ。邪ンヌは顔を上げて真剣な顔で続ける。
「おじ様、私を引き取ってくださる？」
その瞬間、サリエリの顔が真顔に変わった。後にある者は語った、あの時のサリエリはネコに見えた、しかも背景は宇宙だった、と。「これは混乱のニオイだワン…。」真顔でキャットが冷静に呟くとき、カーニバルまでとはいかなくともこれもまた饗宴の始まり。いや、狂宴の最中なのだ。
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影印 - Ayakaさん» コメントありがとうございます。自分の中では最近ギャグ寄りの話が多いけど大丈夫かな…と結構心配になっていたのでその言葉がとても嬉しいです。 (2021年6月26日 15時) (
レス) id: 2648135176 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 面白いです。続きも頑張ってください！楽しみにしてます。 (2021年6月22日 19時) (レス) id: f23d5c420b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影印 | 作成日時：2021年5月22日 12時
