物語は幸福の未来を綴れるか？ ページ37
『王子が城の中を進んでいくと、ベッドの上で眠っているお姫様を見つけました。美しさに目が離せなくなった王子はお姫様に口づけをしました。するとお姫様は眠りから覚め、二人は恋に落ちました。そして二人は棘がなくなったお城で幸せに暮らしました。』
おしまい。そう言って少女、ナーサリーライムが本を閉じるとちらりと横にいたAに目線をやった。「どうだった？」いきなり問われても…とAは少し困ったが、いいお話でしたよと答えた。加えて何故それを私にと尋ねるとナーサリーは笑顔で「貴方が王子様だから」と答えた。Aは思わずは？と声を上げたくなったがそこはうまく呑み込んでそうですかと返し言葉を続けた。
「その、先程の物語の王子様も私だとでも？」
「ええ！」
即答だった。笑顔のナーサリーとは対照的に苦笑いのAがそこにはいた。確かにAは生前王子という立場だった。が、それも名だけのようなもので実際はそんな自覚もあまりなかったのだからこう言われても困ってしまうのだった。否定したい。しかしサーヴァントといえ幼子の夢や願いを壊すようなことは心が痛む。さてどうしようかと内心悩んでいると丁度室内アナウンスが入り話は中断された。丁度いい、逃げる形で心苦しいがナーサリーに断りを入れてAは退室させてもらった。ほっとAが息をついたのもつかの間、後ろから「王子様ーッ！」というナーサリーの叫び声が聞こえて驚いてしまった。振り返って彼女の方を見るとナーサリーは優しい顔をしてこう言った。
「悲しいお姫様を…王女様を幸せにしてあげてね！」
＿＿＿＿＿＿
「あまりにロマンティック、かつメルヘンを願いすぎでは？」
「棘姫ならシャルルペローの話も付け加えてやれ。分岐バッドエンドがあるものほど話は盛り上がる」
Aが去った後にひょっこりと顔を出したのは作家の二人だった。最初から聞いてたのとナーサリーが言うとシェイクスピアは笑顔で肯定を示した。「意地悪！酷いわ」少し怒った様子のナーサリーをシェイクスピアはまあまあと宥め、アンデルセンは少し考えてみろと声をかけた。
「あいつらなら脚色しなくてもメリーバッドエンドくらいにはなり得るだろうよ」
その言葉に頷きながら作者泣かせですな！とシェイクスピアが言うとアンデルセンも全くだと笑った。その反応にナーサリーは頬を膨らませ、不満を露わにした顔でこう言った。「夢くらい見させてあげて！墜ちた花びらを救うのは王子様がいいでしょう？」
甘いだけがいいものではないぞと猫は言う→←でも/GO界のジュナ妻のことどう思ってるんですかね
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影印 - Ayakaさん» コメントありがとうございます。自分の中では最近ギャグ寄りの話が多いけど大丈夫かな…と結構心配になっていたのでその言葉がとても嬉しいです。 (2021年6月26日 15時) (
レス) id: 2648135176 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 面白いです。続きも頑張ってください！楽しみにしてます。 (2021年6月22日 19時) (レス) id: f23d5c420b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影印 | 作成日時：2021年5月22日 12時
