担当医の見解 ページ24
"月からの寵愛"
月神からの愛が元で起こった運命を悲劇と捉えた読み手たちの過大解釈により授けられた愛という名のおもり。
元の名を"無辜の怪物"
使用者の身体構造、能力が換えられる呪いのこと。ここまで大きく元のスキルから逸脱してしまったのもまた前述した彼らからの愛なのだろう。ここまでくるともはや呪いのソレと似たようなものだが。
しかし奴はその呪いに耐えている。…いや、耐えてはいないのだろう。だってその男は以前のカウンセリングでそのようなことを微塵も感じていないと言ったような回答をしているのだから。復讐者に『されてしまった』という意味では同じ枠組みにいるアントニオ・サリエリは似たような呪いにあれだけ苦しめられているというのに。
一体何が彼と違うのか。本人が呪いを感じなければ誰がそれを肩代わりしているのか。
心が壊れないためのもう１つの存在が庇っている、ということしか考えられない。
「…憶測だらけの見解だな。」
呆れたように呟きペンを置く。
しかしそれくらいしか考えられないのだ。もう１つの存在、霊基再臨の不調。そして完全に元である無辜の怪物の効果から離れてしまいもはや別物になってしまった月からの寵愛というスキル。
ため息をはいてコーヒーを口に運ぶ。ではもしもう１つの存在がいなくなったら？…考えるだけで頭が痛くなる。それこそが奴が無辜の怪物か復讐心に支配されたという結果になるのだろうよ。復讐の枠組みを許されながら復讐を望まない男。ソレに抗うのは相当なことだろうよ。だから今はそのもう１つの存在が復讐というものに寄り添う形で主となる男の平静を保てているのだろう。シュルタキールティという存在は正に縁の下の力持ちということか。
変化とは時に恐ろしいものだ。この男の場合、きっと変化とは恐怖と同等のものになるのだろう。体の変化はサーヴァントには基本的に訪れない。なのであれば心の変化なのだろう。
予測しようではないか。この男の変化のタイミング。アビマニュという英霊の心が塗り替えられ、ストッパーの役割をこなしていたシュルタキールティという存在がいなくなるとき。
「……ああ、」
なぜ最初から思い出せなかった？マスターとあのアトラスの女が言っていたではないか。『次の異聞帯はインド』だと。きっと、いや確実にそこがターニングポイント。そこをマスターが攻略したのならほぼ確実に何かが変わる。
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影印 - Ayakaさん» コメントありがとうございます。自分の中では最近ギャグ寄りの話が多いけど大丈夫かな…と結構心配になっていたのでその言葉がとても嬉しいです。 (2021年6月26日 15時) (
レス) id: 2648135176 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 面白いです。続きも頑張ってください！楽しみにしてます。 (2021年6月22日 19時) (レス) id: f23d5c420b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影印 | 作成日時：2021年5月22日 12時
