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女神の独白(上の話の続きじゃない) ページ18

憎し。

憎し、憎し、憎し。

しかして何故だか愛しい。



「貴方には人間憎し、という感情があったのかしらね。」


私の髪の毛を(私からの命で)櫛でといている後ろの人間に声をかける。
私の勇者様。年端もいかない少年の身でありながら復讐者というクラスに属している貴方。弓兵のお父様と同等の腕を持つと言われているのに何故そのようなクラスに属しているのかしらね。


「…私のこのクラスに関しては、後世の人々の想像が大きいと思います。」


髪をとかす手を止めて彼はゆっくり話始める。「"周りと比べたら幼き子が複数人に襲いかけられ殺される"、"何も成せぬまま死んでいった未来があった無念の少年"。」私は後ろを振り返る。何だか他人事の様に話す貴方はひどく小さく見えて、「一体何を思って死んでいったのか…、後世の人々はそう思ったのでしょう。」物語の過大解釈なんてよくあることです、なんて悲しげな声色で貴方は語るのだ。ああなんて可哀想。そしてなんて愛しい。
ごめんなさいね急に抱き締めてしまって。とても驚いているでしょうね。でも貴方と妹が重なってしまったの。"周りから勝手にそうされてしまった普通の子"。思うだけでなんだか切なくなってしまいますもの。


「もし私が本気で皆の言う復讐に身を委ねたとしたら、……それは復讐ですら何でもない。もはやただの怪物ですから。」


ねえお願い。怪物だなんて言わないで。貴方は立派な戦士です。……だけれど言えない。言ってはいけない。言ってしまったら何かが壊れてしまう、漏れ出てきてしまう。そんなことを感じてしまったから。


「そのような目をしないでください女神様。私は決して物事を忘れることのないサーヴァント。……貴女のその目は優しすぎる。」


優しいのは貴方のほうです。無辜のような呪いのソレは貴方の枷なのでしょう?ソレを受け入れ、且つ自分として受け入れるというのはとても痛々しいの。
ねえお願いだから堕ちてきて。その鎖から逃れて。怪物だなんて言わないで。
私なら貴方だけをそのまま受け入れるから。
……私にここまで思わせるだなんて、いけない人なのよ。貴方。

■■■■■■2→←こねた2



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影印 - Ayakaさん» コメントありがとうございます。自分の中では最近ギャグ寄りの話が多いけど大丈夫かな…と結構心配になっていたのでその言葉がとても嬉しいです。 (2021年6月26日 15時) (レス) id: 2648135176 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 面白いです。続きも頑張ってください!楽しみにしてます。 (2021年6月22日 19時) (レス) id: f23d5c420b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:影印 | 作成日時:2021年5月22日 12時

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