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この間のことを謝らせてほしい。


人気のない非常階段の踊り場で、須藤さんは頭を下げた。


「謝らないでください、須藤さんは、何も悪くないです」


心からの言葉だった。



……だって、結果的に、何も無かった。


たとえば、山田が助けに来なかったとしても、俺はきっと、行為を受け入れてしまっていただろう。


それが一番、誰も傷つけない。



……俺は男だし。
何も無かったことに出来るから。



そう説明したけれど、須藤さんは悔しそうに唇を噛んで俯いてしまった。


一瞬の沈黙のあと、須藤さんは顔を上げた。


「あのときは焦っていて言えなかったから……いま、言わせてもらうよ。伊野尾くんのことが好きだ」


「……は、い」



はっきりと言葉にされると、どきりとした。

これまでの言葉も、あの夜も。
須藤さんは俺を想ってくれていた。



それでも、俺は……。



「……ごめんね、今更。……全部わかってたよ、君が山田くんを好きなこと。だから、山田くんが君を連れ去ったとき、君が山田くんについていったとき。自分の気持ちには区切りをつけたんだよ」



そう言った須藤さんの表情は、晴れやかだった。


須藤さんは、俺が自分の気持ちに気づくずっと前から、俺の気持ちを知っていたんだろう。


それでも、一人の人間として俺に接してくれていた。


やっぱり、この人は大人だ。

俺はまだ、こんなふうに割り切れない。
こんなふうに笑えない。



「……だから、ここからは、伊野尾くんの先輩として言うよ。伊野尾くんは、本当にこれでいいのか?」


須藤さんの口ぶりから、山田のことを言っているんだって分かった。


「……いいんです。俺は、隣には立てません」

「……」



風が冷たい。

見上げた空は青くて、綺麗で、心を決めたはずだったのに、少しだけ目に沁みた。

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設定タグ:やまいの , Hey!Say!JUMP   
作品ジャンル:恋愛
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YIN - ここまで読みました。続き待ってます。 (2022年3月1日 0時) (レス) @page26 id: f1d92059ab (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - 一気にここまで読んで来ました。続きは気になります! (2019年12月26日 1時) (レス) id: fc1c97cf30 (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続きが気になります!!!!更新頑張ってください!!! (2018年12月31日 22時) (レス) id: a01bbaa610 (このIDを非表示/違反報告)
サファイア - 続きがとても気になります!!更新待ってます! (2018年12月17日 3時) (レス) id: b202527c47 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - 更新してほしいです! (2018年11月3日 14時) (レス) id: 90d5b391a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花浅葱 | 作成日時:2018年1月5日 6時

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