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ことを全て終えたあと、涼介に電話した。
そのまま眠ってしまったいのちゃんを抱えて、迎えに来た涼介の家へ向かう。
いのちゃんを横たえたあと、ふたりしてベッドの縁に座って、ボクたちはしばらく話をした。
本日のプレイは、いのちゃんがオモチャを入れたまま、涼介の家に行けるかどうか。
いのちゃんが快楽に弱いって知ってて、悪趣味なやつ。
……いのちゃんをそんな風にしたのは、ボクたちなんだけど。
一年前、ボクたちは、無理やりいのちゃんを手に入れた。
優しい彼は、ボクたちに抗わない。
それをいいことに、ボクたちは取っかえ引っ変えしながらいのちゃんを弄んでいる。
こんな歪んだ関係の行き着く先なんてもう見えない。
けれど、ボクたちは、苦しみたくなくて、苦しませたくなかった。
たとえそれが、大好きな人だとしても。
たとえそれが、恋敵だとしても。
間違ったやり方でも、精一杯、愛情を注ぎ込んだつもりだ。
「今日、久しぶりにオフなんでしょ。なんでわざわざ敵に塩送ってんの」
「知 念に負けるつもりは無いし、最終的には俺を選んでほしいけどさ、」
涼介は困ったように笑って、眠るいのちゃんの頬に手を這わせた。
「……伊野尾ちゃん、知 念のこと好きなんだなって思う時あるから」
「……は?」
「言ってることめちゃくちゃだけどさ、一応俺にも愛されてる自覚はあんの。だけど、それと同じくらい、伊野尾ちゃんはお前のこと好きだと思う」
だから、知 念が見つけてくれたら、それでいいかなって。
……なに、それ。
やっぱり、この場所は。
お互いの臆病な気持ちがこの事態を招いているのに、そんな涼介をも歪めてしまう。
……ねえ。
ボクたち、そんなのじゃなかったじゃん。
おたがいが苦しまなければそれでいいって、それだけだったのに。
優しい彼が、何もかもを変えた。
勝手に告白して、勝手に断れなくして。勝手に逃げ場を奪った。開発までしてしまったのに。
オモチャなんて突っ込まれて、理不尽な状況に立たされて。
すべてわかっていながら優しいふりをするボクに、いのちゃんは何を思っただろう。
涼介との約束を守ろうとしてまで。
カーテンの隙間から、白い光が差し込んできた。
もうすっかり、朝だった。
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花浅葱(プロフ) - たべっこさん» リクエストありがとうございました!遅ればせながらリクエストを2のほうで書きました。またリクエストがあればよろしくお願いします! (2018年1月9日 20時) (レス) id: f54c27727d (このIDを非表示/違反報告)
花浅葱(プロフ) - ◆◇如月 侑澪◆◇さん» リクエストありがとうございました!2のほうでリクエストを書きました。遅くなってしまってすみません。読んでいただければ幸いです! (2018年1月9日 20時) (レス) id: f54c27727d (このIDを非表示/違反報告)
花浅葱(プロフ) - 唯さん» リクエストありがとうございました!お返事遅くなってしまってすみません……!2のほうでリクエスト書きました!またリクエスト等あればよろしくお願いします。 (2018年1月9日 20時) (レス) id: f54c27727d (このIDを非表示/違反報告)
けいな - はじめまして!このお話大好きです!いの受けを愛してるのでいつも楽しく読んでいます!リクエストいいですか?歪な関係の山田くん、知念くん、伊野尾くん、のお話の続きみたいなのってかいていただけないでしょうか?お願いします!更新頑張ってください! (2017年11月20日 12時) (レス) id: b1b2b6f894 (このIDを非表示/違反報告)
花浅葱(プロフ) - 琴音さん» リクエストありがとうございました。更新が遅くてすみませんでした! (2017年11月17日 5時) (レス) id: f54c27727d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花浅葱 | 作成日時:2017年6月7日 8時