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ー05ー ページ5

貴女side

界塚伊奈帆

左目に眼帯をしていて

軍服と思われるジャケットを片手に持って戸口立っていた


優しそうな人だと思った

これが率直な感想

だけど、軍人やってるから冷徹な一面もあると思う

“……”だって、そうだったから


伊奈帆「とりあえず、揶賀頼先生の所に行ってくるから。大人しくしてて」

貴女「足……もう、動かないのか?」


彼が止まる

動きも表情も


貴女「逃げ出すな、という事を強い口調で言わない。それに加えて、離れている所で話しているそぶりを見ると、よほど警戒していないな。」


自分で言いたくないが、な…


貴女「結論、私の足は動かない。違うか?」


ドヤ顔までつけて私の憶測で物を語るのは終了


彼の表情は止まったまま動かない

私も彼から視線を外さない

彼は、ずっとふさぎ込むようにして考えている


貴女「答えられないなら、もうい…」

伊奈帆「間に…合わな..かったんだ。あと少し、僕が早く君を、助けていれば」


彼の、伊奈帆さんの右目からは

綺麗な涙が流れていました

とうの昔に、私が忘れてしまった綺麗な涙を


貴女「ーッ、ハッ…お前が責任を感じる必要はない。撃たれた私が悪い」

伊奈帆「でも…」

貴女「医者の所にいくんじゃないのか?」

伊奈帆「あ、うん」

貴女「話は、それからだ」


私の作った笑顔に彼は少なからず安心したようで


私の虚偽の笑顔に


貴女「生きる意味など、あるのだろうか」


自問……答えはなく


ふと、ベッドのすぐ脇の窓から外を覗く

病院の子供達だろうか

窓を開け放すと賑やかな声が飛び込んできて


涙が溢れた

ー06ー→←ー04ー



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作者名:あんな | 作成日時:2015年8月13日 19時

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