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貴女side
界塚伊奈帆
左目に眼帯をしていて
軍服と思われるジャケットを片手に持って戸口立っていた
優しそうな人だと思った
これが率直な感想
だけど、軍人やってるから冷徹な一面もあると思う
“……”だって、そうだったから
伊奈帆「とりあえず、揶賀頼先生の所に行ってくるから。大人しくしてて」
貴女「足……もう、動かないのか?」
彼が止まる
動きも表情も
貴女「逃げ出すな、という事を強い口調で言わない。それに加えて、離れている所で話しているそぶりを見ると、よほど警戒していないな。」
自分で言いたくないが、な…
貴女「結論、私の足は動かない。違うか?」
ドヤ顔までつけて私の憶測で物を語るのは終了
彼の表情は止まったまま動かない
私も彼から視線を外さない
彼は、ずっとふさぎ込むようにして考えている
貴女「答えられないなら、もうい…」
伊奈帆「間に…合わな..かったんだ。あと少し、僕が早く君を、助けていれば」
彼の、伊奈帆さんの右目からは
綺麗な涙が流れていました
とうの昔に、私が忘れてしまった綺麗な涙を
貴女「ーッ、ハッ…お前が責任を感じる必要はない。撃たれた私が悪い」
伊奈帆「でも…」
貴女「医者の所にいくんじゃないのか?」
伊奈帆「あ、うん」
貴女「話は、それからだ」
私の作った笑顔に彼は少なからず安心したようで
私の虚偽の笑顔に
貴女「生きる意味など、あるのだろうか」
自問……答えはなく
ふと、ベッドのすぐ脇の窓から外を覗く
病院の子供達だろうか
窓を開け放すと賑やかな声が飛び込んできて
涙が溢れた
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作者名:あんな | 作成日時:2015年8月13日 19時