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ー014ー ページ14
貴女side
貴女「伊奈帆さん、酷いですよ。貴方は」
伊奈帆「君のためだ」
この足が動けば
逃げ出せるのに
どこへでも
行けるのに
貴女「伊奈帆さん」
伊奈帆「なに？」
貴女「外に出ませんか？」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
病院の中庭の
風が心地よい
生きてるって実感をもてる
貴女「兄さんは、私を覚えているでしょうか？」
隣に立っている伊奈帆さんに声をかける
伊奈帆「覚えていると思うよ」
貴女「そうですか。ねぇ伊奈帆さん」
私ね
怖いんです
笑顔に似合わない言葉を吐き出す
伊奈帆「怖い？」
貴女「自分が分からない。さっき強く思っていたことが今はもう、反対の事を思っているの」
伊奈帆「混乱しているんだ、きっと」
貴女「違う、違うわ。昔からなの。まるで、私の中にもう一人の私がいるみたい…」
おかしいよね
伊奈帆さんだって
驚いてるわ
やっぱりヴァースに帰った方が
いいのかな……
貴女「伊奈帆さん？」
伊奈帆さんが地面に座る
伊奈帆「１つだけ、君をヴァースに帰したくない理由を教えてあげる」
少しだけ笑う伊奈帆さん
つられて私も笑ってしまう
伊奈帆「僕が、帰したくないから」
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作者名：あんな | 作成日時：2015年8月13日 19時
