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貴女side

伊奈帆「明日、極秘でヴァース側と通信謁見を行うことにした。僕の周りのごく少数の人しか知らない」

貴女「そうですか」


のどかな中庭の風景にそぐわない話

周りから見れば、いい感じの二人に見えるのだろう


伊奈帆「その場で、君が直接拒否すればいい。たぶん、一番それが有効な手段だと思う。セラムさんを、君のお姉さんを納得させるなら」

貴女「クス…やっぱり、分かりませんか」


クスクスと笑う私を見て伊奈帆さんが不思議な顔をする

ここまで、見破れない人もいないとは

伊奈帆さんには期待していたのにね


貴女「そういえば、私の足が動かないかの質問の返事、もらってないですよね?返事、聞かせてもらうかわりに私の秘密の話をしてあげます」

伊奈帆「……それを聞いて、君に何のメリットがある?」

貴女「……自分と向かい合うきっかけ、になるかと」

伊奈帆「ハァ−…単刀直入に言わせて貰うと、動かない。リハビリ次第では立つくらいまでは出来るようになるって」


溜め息つかれて言われる事かな?


貴女「そうですか。動かない、か…」

伊奈帆「僕が、もう少し早く行っていれば」

貴女「伊奈帆さんのせいじゃないです。誰のせいでも、ない」


鬱屈とした考えに陥りそうになるのを何とかとどまり、伊奈帆さんに笑顔を向ける

貼り付けたような作り笑顔を


貴女「伊奈帆さん。私の話を聞いても嫌いにならない、遠くへ行かないって約束してくれますか?」

伊奈帆「うん」


無理だろうけど


貴女「私、アセイラム姉様の妹ではありません」

伊奈帆「なっ…」

貴女「私に姉様などいない。逆に、いるのは兄」


生き別れ、消息が分からない兄さん

まともに話したことない兄さん


貴女「伊奈帆さん、貴方の左目を撃ち、貴方の邪魔をことごとくした人物。スレイン・トロイヤードが、私の兄です」

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作者名:あんな | 作成日時:2015年8月13日 19時

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