俺の心を返して (ページ5)

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　グクは去年、テヒョン先輩に連れられてサークルにやってきた。高校が同じだったらしく、「人見知りだからまだ全然友達いなくてさ」と言う先輩を睨みながら、それでも知らない年上たちの前で話せないのか、居心地の悪そうな顔をしていた。

　でも、最愛の弟であるミンギュをかわいがれずに鬱憤が溜まっていた私には、それはもうかわいい「弟」に見えた。

　ミンギュは愛嬌のある顔をしているけど大男だし、はきはきと喋るタイプだし、人見知りとも無縁だから、グクとはまるで違うタイプだったのだけど。

　でも、なんだか手のかかりそうな雰囲気のグクのことを放っておけないと感じた。

　グクだけでなく、新入生としてサークルに来てくれた子たちみんながかわいかったけれど、グクはその中でも私に懐いてくれたから、よりいっそうかわいかった。

　だって、初対面では口もきけずにもぞもぞしていたグクが、テヒョン先輩やジミン先輩としか話さなかったグクが、「ヌナ」と愛らしい笑顔でそばへ来てくれるのだ。集まりで気付いたら隣にちょこんと座っていたり、私があげたお菓子を「わー、ありがとうございます」と嬉しそうにほっぺを膨らませて頬張ったり、お酒を飲んで眠くなると、「ヌナ、眠い」ともにょもにょ言って膝枕で寝始めたり、姉心を擽る要素が満載だった。

　それはもう、一年かけて愛で倒した。

　テヒョン先輩をはじめ、周りの人たちは呆れながらも、「いつものことね」と片付けていた。私たちの間に、まるっきり男女の仲とか、そういう雰囲気を感じなかったのだろう。

　グクは私をヌナとして慕ってくれていたし、私の可愛がり方が実は下心込みだったなんて知れたら、本当に変態扱いされてしまう。