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ジョングク。二年生の、とってもかわいい顔をした男の子。ちょっと人見知りで、知らない人には不愛想だけど、懐いた人にはとことん甘える、愛されるべき弟ポジション、みたいな子。
今年の新入生たちのお目当てだ。
きっと勧誘に歩いたとき、特に声を張り上げずとも、大勢の女の子たちが着いてきたに違いない。
現に、飲み会会場には例年を超える人数の新入生の女の子が押し寄せている。
年下好きを公言している私からすれば、新しく新入生を迎えるこの会はすごく楽しみなはずだったのに。蓋を開けてみれば、私は不機嫌に酒を呷っている状態。
飲みつぶれるような真似はしないけど、ヤケ酒みたい。
どうしたって視界に入ってくる二人に、もやもやが渦巻く。
「ヌナ、楽しんでますか?」
と、そこへひょいっと来たのは張本人のグク。
くりくりの目で、私の手元を覗き込む。
「わ、何杯目ですか」
五、六……七杯目くらいかな。でも、ビールばっかり飲んでるからか、杯数ほど酔ってはない。
答えようとして、割り込むように先輩が顔を突っ込んでくる。
「そうそう、言ってやってよグク! Aったら酷いんだよ」
「グク、新入生の子の相手はいいの?」
「無視!」
「なんか、他に話したそうな人がいたから場所譲りました。新入生同士も交流も大事でしょ?」
こてんと首を傾げるグクに、きゅーんと姉心をくすぐられる。
かわいい!
「そうだね、さすがグク!」
「えへ」
頭を撫でると、グクは目尻を下げて笑う。
さっきまでグクがいた席には別の新入生が座っていて。女の子がうらめしそうにこちらを見ていたけど、にこにこ笑うグクの可愛さの方が圧倒的に勝っている。
「ジョングクー! なに油売ってんだ、お前も二年だろ」
グクが嫌がらないのでよしよしと頭を撫でていると、通りがかった二年生がぽかっとグクの肩を殴る。
「注文とるか新入生の相手しろよ! A先輩も、グクのこと甘やかさないで!」
「嫌」
つんと顔を背けるグク。もう、なにしてもかわいくって仕方ない。
「グク、行っといで。ヌナはここにいるからさ」
「ヌナ〜」
「グク、いい子だからできるよね?」
つん、とほっぺをつつくと、グクは「もう」と言いつつ笑顔で立ち上がった。
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作者名:ハル | 作成日時:2020年5月10日 13時