還り咲く心月【イナズマイレブンGO】 (ページ3)

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第2話ページ3

それからどのくらい走り続けたのか、自分でもあまり覚えていない。息も絶え絶えになり、体力に限界が近づいていた。
　
　
『はぁっ…はぁ…なにあの人達…』

　なんとか追手から逃れることができて公園のドーム型の遊具の中に隠れたのはいいものの、また見つかった時に先程と同じように逃げ切れる体力は残されていない。

　さっき派手に転んじゃって、足から出血してるところがジンジンと痛みがして、もう走れそうもない。

　足の速さには自信があったのに、あの人たちなかなか速いし…！

　困ったなぁ、とため息を吐いて腰を下ろす。少し休憩して、様子見ながら、交番に行って匿ってもらおう…。
　
　そんなことを考えていると、新たな声が聞こえてきた。

《A！》

　周りには誰もいないはずなのに、どこからか男の子の声だけが聞こえる。キョロキョロと周りを見ても人影すら見当たらない。

　
『こ、今度は何！？』

《そこにいたらあいつらに捕まっちゃうから、早くこの時空ホールに入って！》

　そう言われた直後、目の前にブォン、という音を鳴らしながら見たことのない無機質な穴が現れた。

　緑色や黒色や青色が混ざっていて、バチバチと電気の光が漏れている。なんだか気持ちの悪い見た目だ。

　しかし、この知らない声の主を信じていいものなのだろうか。さっきの黒スーツ軍団とグルだったら嫌だし…。

　
『これに入るの…？』

《早く！捕まっちゃうよ！》

　
　そうこう言ってるうちに公園に入り込んできた先ほどの黒スーツの一人が、遠目からちょうど見える角度で私を見つけ、いたぞーー！と大声を出した。

　どっちも得体の知れない人で信用ならないけど、この謎の声は私を助けてくれようとしている事だけはわかる。

《ほら早く！！》

『……あーもう！絶対に裏切らないでね！』

《うん、絶対に裏切らないから！》

　黒スーツが迫ってきて、男の子の声に急かされて心臓はバクバクと脈を打っている。勇気を振り絞って拳を握り、気色の悪い穴に飛び込んだ。

　
　
「チッ…逃したか…」

　先ほどまであった時空ホールは、少女が入った途端に一瞬で跡形もなく消え去っていた。