還り咲く心月【イナズマイレブンGO】 (ページ11)

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第10話ページ11

　

「うん、いいよ！僕はFWってポジションなんだけどね…」

　色々とサッカーについて教えてもらった。笑顔で語る太陽を見ているとこちらも楽しい気分になる。私もサッカーに興味が湧いてきたかも。

　それから数十分ほど談笑していると、さっきまで誰もいなかったはずの場所に一人の女性看護師が仁王立ちして、こちらを凝視しているのをうっかり発見してしまった。

　溢れ出る怒りのオーラを見て、何故あの人はあんなに怒ってるのかわからず、首を傾げる。

　私が黙って首を傾げてる様子を見た太陽は、私の視線を辿ってそーっと横を向いた。

「探したわよ、たいようくん？」

「ギャァッーーー！！」

　看護師は高速で走ってきて太陽の襟の後ろを掴んだ。太陽は逃げる暇がなかったので瞬時に捕まり、ジタバタと暴れている。

　
「これから定期検査のあなたはここで一体何をしているのかしら？」

「冬花さんごめん、ごめんって！ちょっと会いたい子がいるのが部屋の窓から見えて！」

「会いたい子…？」

　すっ、と看護師から威圧のオーラが消える。

　看護師はじっと私を見つめて「この子？」と問いかけた。

「そうだよ、次いつ会えるかわかんないから会っときたくてさ！許して！」

「ふうん…許す、とでも言うと思ったのかしら？」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

　な、なんだろうか、この溢れる漫才感は。

　苦笑いしながらも、彼は私を見つけて会いにきてくれたんだ、と知って少しむず痒い気持ちになる。

　謝りながらも暴れていた彼は、ようやく看護師の拘束から逃れることができたらしく、私の背中側に回って、盾として防御に立たされた。

「あのさ、もっと話したいけど今それどころじゃないから、今度二人でどこか遊びに行こうよ！」

『えっ、いいけど…』

　
　再び逃げようとする彼を見て看護師の顔は鬼のように眉が吊り上がり、今すぐに太陽を捕らえようとする。太陽は慌てて患者服のポケットを探った。

「これ、携帯の連絡先！僕は検査が終わったら明日には退院するから！まぁすぐ入院になるだろうけど…それじゃ、またね！」

　素早く紙のメモを私に押し付けると、太陽は全速力で逃げていった。看護師は「走るなー！」と言って鬼の形相で太陽を追いかけていった。

　……なんか、愉快な人たちだったなぁ。一人その場に残された私は、慣れないガラケーと格闘しながら何とか太陽の連絡先を登録できたのであった。