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暗い所からずるりと引きずり出されたような感覚と、ツンと鼻につく何かの臭い。
気持ちが悪い二つの感覚で目が覚めた。

僕の目が映すこの白は天井だろうか。……一体何処だろう。
しかしその疑問はすぐに無くなった。

掛かっていた毛布を退けるように起き上がると、今僕がいるのは探偵社の医務室だと判ったからだ。

医務室ならこのツンと鼻につく臭いも頷ける。

寝台(ベット)の上に座ったまま、ぼうっと思い出す。
一体何があって此処に居るんだ? 誰かに運ばれたのか?
そして思い出す。

彼奴がいたのだ。

こうしてはいられない。逃げなくちゃ。
彼奴が今も迫って来ている。

寝台(ベット)から出て床に両足をつけようとすると、うまく均衡(バランス)が取れず、倒れそうになった。
あ、このままじゃ頭を打つだろうな。
そう思って目を瞑ると、浮遊感の後に僅かな温もりが僕を包んだ。





「……っと、
如何したンだい、危ないじゃあないか」



「……与謝野さん」





どうやら僕の様子を見に来てくれたようだ。
与謝野さんの腕の中から出て、受け止めてくださったお礼を云う。

すると彼女は僕の顔色を見て、“未だ寝てな”と云った。





「……それは出来ない
だって、彼奴が近くまで来ているんだよ。ゆっくりはしていられない」



「駄目だ」



「何で」



「妾は医者だ」





此方を見ずに、棚の中の薬品を並べ替えている与謝野さん。
黒い鞄から数々の薬が出て来る。





「寝てな」





彼女はその薬品の一つを手に取り優しい笑みを向けると、僕を寝台(ベット)に寝かせた。
そして僕は、まるで魔法にでも掛けられたかの様にゆっくりと眠りについた。

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小泉八雲 - あらら…終わってしまったんですか……続きがとても気になります 更新期待してます……! (7月13日 22時) (レス) @page23 id: a3d5b84e3e (このIDを非表示/違反報告)
らむくん@ヴィル様の旦那さんになりたい人(プロフ) - えっ、嘘!?終わり……!? (2020年11月9日 17時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
アカヤ(プロフ) - うわぁ…!めっちゃ面白いです…! 更新待ってます。 (2020年11月7日 14時) (レス) id: c94cddf62e (このIDを非表示/違反報告)
あかや - お、終わり、、、? 続きをお願いしますぅ、、、! (2020年11月7日 14時) (レス) id: 51d8bbe764 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いします!ヘッセくんやエーミールも好みなので、もっと見てみたいです。長々と失礼しました! (2020年1月10日 23時) (レス) id: 52067018fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:篝 ヒカル | 作成日時:2017年4月22日 17時

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