金曜日に会いましょう【赤】【桃】 (ページ2)

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重岡side

仕事終わり

照史「え、しげもう帰る用意したん？はやない？」

「おん、ほなまた明日な。
おつかれー」

淳太「あいつほんまプライベート見えんよなぁ」

背後で聞こえた淳太の言葉はそのままにして
足速に楽屋を出る。

俺は極力、私生活を見せたくないタイプ。

それは別にメンバーを信頼してないとか
メンバーの前で素を見せれないとか

そんなんと全然ちゃうくて、

メンバーのことは心から信頼してるし
メンバーの前では間違いなく素でいられる。

ただ、この業界から隔離されたプライベートが欲しいだけの話。

◇

-ｶﾞﾁｬ

扉を開ければただいまを言う前にドタドタっと足音がした。

にやけそうになる口角をぐっと堪えて、
すました顔で靴を脱ぐ。

『おかえり』

「なーんやA、来てたんなら連絡してや」

玄関までやってきた彼女は、俺を親だと思い込むアヒルのようで
無意識のうちに頭を撫でていた。

『しげのこと待ってる時間も好きだからいいの』

「俺の仕事終わんの遅なくてよかったな？」

『予定も入れず早く帰ってきてくれたの、わかってるよ』

そう言って目が合う彼女は、

そんなどーでもいいことには気付くくせに
俺の気持ちは気付かない。