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66 (イレギュラー報告 no.18638) ページ16

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“イレギュラー報告 no.18638/演練/口述”より





ちょうど、一か月前の出来事です。




あの審神者と、あの部隊のことは、極力思い出したくありません。本当に、酷かった。今でも、思い出すだけで鳥肌が立ちます。悪夢に、魘されたこともありました。


手合わせというものがありますね。所謂演練です。他の本丸の審神者と、部隊を互いに引き連れて会場に出向き、戦わせて、腕を磨き合う。双方の鍛錬の一環として、永らく行われてきた周知のものですね。



…あの日のことを、忘れることはないでしょう。


会場で、先に待っていた僕達の前に現れたその部隊に、一目で背筋が凍りました。…皆、重症なんです。

歩いてくる彼らの後ろに、誰が流してるのか、判別もつかない大量の血がぼたぼたと落ちて、跡を作っているのが見えました。彼らを見た、僕の部隊の隊長、初期刀でもある山姥切がすぐに、「今日はやめておこう」と言ってきて、僕もそれに従おうとしました。

でも、あの、審神者、あの審神者が

「よろしくお願いします」


と言った瞬間、体が縛り付けられたように、動かなくなりました。その時点で、敗北を、察しました。…この女は、バケモノだ、と。凍りつく僕に微笑んでいるその審神者の背後にいる男士達の目は、みな、虚ろで、誰がどう見ても折れる寸前の、重症、で

…いや、三日月宗近だけは、違いました。彼だけは、無傷だった。相手の審神者の編成は、三日月宗近、髭切、膝丸、大倶利伽羅、厚藤四郎、蛍丸でした。


…僕の第一部隊は、一瞬で壊滅しました。


唖然としたのは、敗北自体にではありません。そこで見た、相手の部隊の、戦う様と、審神者です。

有り得ない、景観でした。
周囲で観戦していた他の本丸の審神者達と刀剣男士達も、その異様さに、ざわつきました。

…あの、悪魔のような審神者の刀剣男士達は、始めから終わりまで、真剣必殺を繰り出し続けていて、そしてそれが、常日頃の、彼らの戦い方のようだったんです。そしてそれを、主の女が微笑んで見ている。


寒気がしました。


一番、僕の五感に焼き付いて離れないのが、源氏の、二振です。僕の第一部隊にも、その演練時、膝丸が一振参加していました。でもあの審神者の、源氏の兄弟は、他と全く違いました。…特に、兄の…髭切です。




あの髭切を見てから、僕の膝丸は、自ら部隊を降りて、…一度も刀を握っていません。









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(プロフ) - 読者様 一つ一つにお返し出来ずすみません!コメントありがとうございます!(三)についてですが、推敲が終わったところから随時公開しております!またお時間空いたり思い出して頂けた時に読んでもらえたら嬉しいです。遅筆ですが楽しんで書いております (7月7日 10時) (レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - 初めまして!一気に見させていただきました。とても面白いです!そして続きが気になります。パスワードおしえていただけないでしょうか? (6月18日 13時) (レス) @page50 id: 673a00a1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (4月28日 13時) (レス) @page50 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
テオ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ここまで読ませていただき本当に面白いと感じました。表現の仕方がとても好きでストーリーも最高です。推敲が終わるのをとても楽しみにしています。無理のない程度で頑張ってください💪 (2023年4月27日 14時) (レス) id: 85b09c3093 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 始めまして!クロです凄く面白くて続きが気になるのでパスワード教えてくださいm(._.)m (2023年3月30日 1時) (レス) @page50 id: 16daf975b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年2月24日 20時

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