涙が135こ ページ6
-沖田 Side-
.
夢見ても、あの人の面影は消える訳なく。
『総悟!』
もう映らないあの笑顔も。
掠めとられる様な香りも。
何も…、何も感じる事が出来なくて…。
──────────…幻想だけが揺らめいた。
(夢の中ででも)
.
───────────────
───────────
────────
俺が目覚めてから6日目。
病人扱いを全くされない、怒涛の毎日。
どうやら、美さん捜索の唯一の情報源だったらしい俺が目覚めたお陰で、幕府も再度捜索に力を入れ始めた。
その所為で、病室にはむさ苦しい上司共が押しかけるばかりで、息つく暇もねェ。
そう、確かに俺だって、美さんを救い出したい。
そして、真選組総長としてでは無く、一人の美さんとしての全てを聞き出したかった。
何故、真選組を裏切ったのか。
美さんと幕府の間で何があったのか。
総悟「…でも、どうなんだろうねィ…。」
金髪野郎…−−−−−−−尋とか言った男と戦って分かった。
どんなに美さんの居場所を見つけ出しても、あの男がいる限り、鎖は外れない。
まるでバケモンみたいなあの強さに、何か強い意志を持っていた。
それが何なのかなんて、敵同士の俺が分かりたくもないが…。
総悟「…美さん。」
暫く、誰も来ない病室は怖いぐらい静かで。
開け放ったカーテンから覗く夕日を見つめれば、今まで耐えてきた涙が溢れ出す。
泣きたくない。
強くなりたい。
今のままでは、どうしたって弱気になってしまうから…。
総悟「…っ…俺ァ、どうすりゃいいんでさァ…。」
…もし、今ここに美さんが居たら何て言うだろう。
また、何時もみたいな掴み所のない笑みでも見せて、頭でも撫でてくれるんだろうか。
そして、こう言うんだろう。
『阿保。お前はまだ餓鬼だから、俺の背後で守られてりゃいいんだよ。』
一見、子供扱いされているようで違う。
これは、俺への信頼で…−−−−−−−『背中を任せた』こんな意味も含ませてる。
総悟「…ッはは…、美さんは何時も素直じゃねぇや…。」
ほら。
─────────…また溢れた涙は、アンタの所為。
.
307人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
知念菜々(プロフ) - 素敵な小説ですね、思わず泣いてしまいました(笑)これからも頑張ってくださいね (2019年4月26日 12時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - とても素敵な小説ですね・・・!感動しました。( i _ i )主人公や沖田や銀さんの想いが切実に伝わってきました。更新楽しみにしております。頑張ってください! (2016年1月24日 22時) (レス) id: 8fa45dd2aa (このIDを非表示/違反報告)
みかんのポン酢 - 更新楽しみに待ってます!!シリアス好きにとっては美味しい(?)小説ですねwww応援してます! (2015年12月30日 12時) (レス) id: a0bf40ef9d (このIDを非表示/違反報告)
クロゥ - 主人公が何もかも背負っているのを見てる沖田と土方と銀さんなどの気持ちと主人公の気持ちを考えて何度も号泣してしまいました。これからの話も気になるので続き楽しみにしています!お身体に気お付けてください!次の更新楽しみにしています! (2015年10月5日 0時) (レス) id: 076214571a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 主人公が何でも背負い込む所が辛そうで何度も泣いてしまいました。続き、とても気になります更新頑張って下さい! (2015年8月27日 21時) (レス) id: 26fe401622 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊 x他1人 | 作成日時:2015年5月26日 23時