146 (こんなとこ来るんじゃなかった) ページ46
＿＿＿＿＿…
こんなとこ来るんじゃなかった。
何度もそう思った。ここに来てから俺が見続けてきたものは、傷だらけで、敵の攻撃より味方の無事を気にしてる皆だった。そして、止まらない血だ。ボロボロになった俺たちの刃。出陣先の森の中で、刀身のヒビを見ながら｢俺もそろそろかな｣なんて静かに思った。
(…俺らって…あの、主って、歴史守る仕事してるんじゃないんですか？)
こんなんじゃ、仕事なんてできない。まあまともに考える間も無く気を失って、正気に戻れてもすぐ主の言霊しか頭に無くなってロクにものも考えらんなかったけど。
この本丸は、主の穢れで環境も季節も狂っていた。だからあれがいつ頃起きたことだったのかよく覚えてない。
けど、俺が最期に見たのは、ガチャガチャガチャガチャ音が鳴るぐらい刀を持つ手を震わせて涙を流す骨喰の顔だった。骨喰の頬には、随分前に他の兄弟から受けたかなり深い斬り傷が入っていた。
だから、朧気になった俺の視界で、骨喰は血の涙を流してるように見えた。
…意外だった。戦場だといつもピンチになったら慌てるのは俺の方で、冷静なのは骨喰の方だった。でもいざ、こういう時だと冷静なのは…いや、冷静どころか笑ってさえいたのは俺の方だった。兄弟、いいよ。俺の負けで。そう思って俺は、勝手に動く自分の腕に抗って、骨喰にそれが刺さる寸前に渾身の力で体を捻って自分の腹を無理矢理骨喰の前に捩じ込んだ。｢兄弟ッ！｣骨喰が叫んだ。
それが…俺が見た、最期の光景だ。
…俺が辛うじてもってる記憶が、あの炎と、そして…こんな場所でゴミみたいに扱われてたことだけだなんて、…あんまりだ。
(でも、やっと)
そう思った。
折れることが、できたんだって。
あの主…あの女の人から、やっと解放されたんだって。
｢………え？｣
そう、思った。だから、目を開けた時、ああ本当に天国ってあったんだって思いかけた。だって俺の視界には、平野が映っていたからだ。
無傷の。
｢ひ、らの…？｣
｢！っよかった、…っ、い、いち兄！鯰尾兄さんも、目を覚ましましたっ｣
｢本当か！｣
｢？…、？？…ぇ、？｣
いち兄の声もした。目しか動かせないまま放心する。
駆け寄るように俺の傍らに膝をついたいち兄が見えた。
(あれ)
い、いち兄も、怪我、してない。いち兄って、主に、五虎退のこと、頼みに行って…俺たちは必死でそれを止めようとしてて、…あれ、なんで、＿＿＿＿皆の怪我、直って
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鳥(プロフ) - まひろさん» まひろ様 深夜のお返事となってしまいすみません。読み返していただいてると知って感無量です…ありがとうございます、とても遅筆ですが 少しずつこれからも更新していくので 是非また読んでいただけたらとてもとても嬉しいです…* (2月8日 4時) (
レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - 初めてまして。とても素晴らしい作品で、もう何度も読ませていただいてます。更新される度に、1から読み返したくなります！すごく引き込まれる文章で、本当に面白いです。これからも更新楽しみに待っています。 (1月30日 23時) (レス) @page35 id: 8d8aef7fca (このIDを非表示/違反報告)
鳥(プロフ) - 雪見大福さん» 雪見大福さま、コメントありがとうございます…。泣いていただけたと聞いて驚いています。刀剣男士と夢主の葛藤や感情をこれからも大事に書いていけたらと思っています…。ゆっくりな更新ではありますが、楽しみにしていただけるようがんばります…* (1月30日 16時) (レス) id: 3f2e40c263 (このIDを非表示/違反報告)
鳥(プロフ) - 火狩さん» 火狩さま、お返事が遅れてすみません！一気読みしていただいてありがとうございます…！遅筆ですが、少しずつ更新させていただく予定です。また思い出されたときに、読みにきていただけたら嬉しいです (1月30日 16時) (レス) id: 3f2e40c263 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - 何度も泣きました！これからも無理せず頑張ってください！更新楽しみしにてます (12月23日 5時) (レス) @page26 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年6月15日 17時
