44 (もし最初から、) ページ44
＿＿＿＿＿…
今思えば、私の“あの行動”は、自分ですら上手く理由を説明出来ないものだった。
それは、あまりに突然で、予告無く起きたのだ。
＿＿＿＿＿＿…
｢歴史修正主義者……なんて、ほんとにいるんだ、｣
目の前で、先程取り出したオレンジを食べながら、『審神者の基本職務』をぺらぺらとめくるその人は、つい一昨日まで恐ろしい采配を振るっていた審神者その人とまさに同じ見目の人間である。
私にも、丁寧に切り分けたものを半分分けて下さる様子を、未だどこか夢のような思いで見ていた。
朝になるまで気が気ではなく、今までにない心配をしながら、布団の中で眠るその人を見つめていた私を、この方は知る由もないだろう。
今までに抱いたことの無い心配。それは、
(朝起きたら、元の審神者に戻っているのではないか)
私がたった半日程経験した信じ難い体験は、よもや、この絶望的な状況からくる幻覚だったのではないかと怯み、何度も正絹に並べられた五虎退と一期一振を見返し、これは現実だと自分に言い聞かせた。
政府からの連絡が来て、その方を起こす呼び掛けが、どれだけ命を賭したものであったか。
もし、前の審神者に戻ったならば政府からの連絡など、私の失策と踏まれ即座に殺されたに違いない。
目覚めたのが、昨日見た幻かと思っていたそのままの人であったとわかった時、私がどれだけ安堵したか。
(それが一体、どれだけ勝手な安堵か)
この方の目的は、元の世界に戻ることだ。
そうすべきなのだ。
私は、一瞬でも、この方が戻らずにいて、
(良かった、と思ってしまったのだ…)
｢関ヶ原、安土、鎌倉、…日本史やったの遥か昔だけど、あたしでさえ知ってる事件ばっかりだよ｣
｢遡行軍は、重要な歴史上の出来事に決まって現れ、改変を目論むのです。人が死ぬ事も厭いません｣
｢へえ、…なんでそんなことするのかなあ｣
難しい顔をしながら、熱心にその冊子を読むその方を、じっと見つめる。
不思議と、早ければたった数時間後、自分が消えることに躊躇いや、恐怖は無かった。ただ、
｢審神者ってやっぱりエスパーなんだ。…あ！こんのすけさんのこと書いてあるよ！｣
ただ、
｢こんのすけ…審神者の各本丸での第一サポート役…やっぱりそうなんだなあ、めっちゃサポートし慣れてるなあすごいなあって思ってたもん｣
そう言って笑うその方に、心の中で思う。
もし最初から、
(貴方様の元で、)
45 ｢早くゲートへ！！！｣→←43 ｢何振…の刀の神様がいるの？｣
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ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
