刀剣乱舞 -私はブラック審神者らしい-

40 (チャンスは1度だけです、) ページ40

…


電話が切れた後のパソコンの画面を見ながら、ぼうっと言われたことを思い返していた。


＿＿＿ゲートはつまり、空間転送装置です。いわば、瞬間移動を可能にする歪みのようなものです。

＿＿そのゲートをくぐることで、あなたはその本丸から脱出出来、そして、我々も…ブラック本丸への然るべき対処が可能となります。

＿＿＿必ず、怯まずゲートをくぐって下さい。


(チャンスは1度だけです、)


と役人さんは最後に言った。大きなエネルギーを伴うその装置は、出現時の膨大なエネルギー放出によって、刀剣男士達に気付かれてしまうからだそうだ。そこに現れたと同時に、くぐらなきゃいけない、と、何度も繰り返し指示された。

｢…｣


こんな夜明け前に急に連絡きて…正直寝起きで分かってなかったけど、政府の皆さん徹夜かつなる早で用意してくれたのかと思うとすごくありがたくなった。

(でも、)

あたしの真横にちょこんと座るこんのすけさんに目をやった。こんのすけさんは、あたしが役人さんと連絡を取り合い始めてから、終わったあとも一言も口をきいてなかった。目が合ったこんのすけさんに、えっと、と考える。


(あと数時間、てことは、)


｢、｣


こんのすけさん、あと数時間で消えちゃうの？

は、と息を吸い込んだけど、こんのすけさんは、あたしが言葉を発する前に、それを遮るように静かに首を横に降った。


｢…、｣


それでまた何も言えなくなってしまった。

こんのすけさんは、あたしが、この場所と一緒にこんのすけさんまで消えてしまうのを、止めようと提案しかけたのを察してる。けどそれを拒否した、



その理由は、苦しいぐらいに想像できた。

治そうとしたあたしを、拒否した理由と同じだ。




｢こんのすけさん｣
｢はい｣
｢………撫でちゃ、ダメ？｣


は？と素っ頓狂なレア声を出して、こんのすけさんは、あたしをまたまたそのびっくり顔でガン見した。

｢ダメ？｣
｢え、あ、…！いや…、！その、私めは、酷く汚れております故、貴方様の手が、｣
｢いーの！｣
｢そ、その、｣
｢……｣


ぐ、と言葉に詰まったこんのすけさんは、何がなにやらという困惑顔でおろおろしていたけれど、結局、｢は、はい、｣と折れてくれた。

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