22 ｢人だったの？｣ ページ22
＿＿＿＿…
こんなふうに謝られちゃったらもう何も言えなかった。何をどう言ったらと思い巡らしても、所詮ここで何があってあたしが何をしてたのかを、全く知らなくて、分かってない自分に、何も言えることなんて無かった。傍に置いたものの、使われることは無いだろう道具を見て、また唇を噛んだ。
(自分のことだけを、)
考えてくれ、と、言われたのでなく、頼まれた。
あたしがこんのすけさんのことや、この本丸の事情に立ち入ろうとする態度自体、酷く的外れで、かつ、同じ見た目をしたあたしがそんなことしたら、更にきつい思いをさせちゃうんだろうって気がした、
あたしは今まさに自分が帰ることだけを考えれば良い立場に置かれたのに、目の前で頭を下げるこんのすけさんの血だらけの体が背負った、知ることも叶わない大きな何かに物凄く気が逸らせないでいる。
｢、あの、そしたら、あのお兄さんも、｣
｢…見てください｣
｢…へ、｣
あのお兄さんも手当したら駄目なの？って聞こうと思った時、こんのすけさんの視線があたしの背後へ向けられてることに気付いた。
振り返ったそこで今まさに、起こっていた…見たことも無い、その景色と様子に、開いた口が塞がらなかった。
(ひとが、)
人が、
刀になっている。
そこには、倒れたままだったお兄さんが、静かに、溶けるみたいに、人から刀に変わっていた。
｢先程役人からも説明があったように、この本丸にいるのは、刀の付喪神達です。…しかし、あのように極限まで疲労や重傷が重なると、…やがて人の形は保てず、元の魂の宿る刀剣だけしか、…現世に留まることは出来なくなってしまうのです、｣
｢……｣
千と千尋の神隠しで、千尋がボロボロの竜モードのハクに駆け寄ったとき、ハクが人間にシュウ、って戻るシーンがあるけど、あれを思い出した。あたしが目にしたのは、殆どあの場面と同じものだった。衝撃過ぎた。
あたしの視界には畳に転がる刀が…二振り。も、しかして、
｢ぇ、てことは…、ねえ、…あ、あの、廊下に落ちてた殆ど折れてた小さい刀も…？｣
｢…｣
｢お兄さんみたいに、人だったの？｣
｢……はい、｣
あまりに、現実離れし過ぎてて何も言えなかった。もう、分かってはいるけど、何度でもここが現実なのかと疑ってしまう。あたしがいた世界と………常識がかけ離れ過ぎてる。
人が、物に変わった。
刀のか、かみさまだなんて、そんな、
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ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
