14 「可能性は、大変低いです」 ページ14
あたしの脳内で崩壊するビルの内部に人が補填された。その惨さに唖然とした。
え、でもやろうとしてること、そういうことだよね、たぶん、
政府の人の、感情の上に鎧をまとってるみたいな声色が、更にぶ厚くなった気がした。
「今は…審神者不足です。彼らを本格的にケア出来る人材の余裕も、正直言ってありません。何より、審神者の貴方自身、別時代及び別世界から、転身し代わってしまったという事実…霊力の制御すらも、大変あやふや…」
「…」
「せめてあなただけでも救出出来るよう、何とか措置します。しかし、あなた自身の問題にも言及しますが、___元の世界に戻れる可能性は、大変低いです」
「…は?」
視界から、色が失せたかと思った。
可能性は、大変、低い、?
「え、なんで、」
その後の、淡々とした説明は、全然頭に入ってこなかった。
世界は星の数程の平行世界でできてる、とか、我々が感知しているのはそのうちの僅かな異変、とか、よってあなたの世界を捜索するのは、云々云々…
「、」
頭に、しばらく会ってない親や、友達の顔が浮かびそうになって、すぐにそれを叩き出した。
だめ、絶対泣いちゃう、
「とにかく、その部屋を離れないで下さい。幸い…前の貴方が張った強力な結界が幾らか感知されています。もし出れば、異変に気付いた男士達に何をされるか分かりません。……最悪、殺されます」
「…」
「そしてそこでは、実名は厳禁です。数日以内に、再度連絡しますので必ず応答して下さい。ゲートの準備が出来次第いつでもそこへ迎えるよう、絶対に怪我をなさらないで下さい」
「…」
「自分の身を最優先で守って下さい」
「…」
「…」
「…………、……はい………」
自分の喉から聞いたこともないほど、絶望でかすれ切った声が出た。
政府の人は、しばらく間を置いたあと、「またご連絡します」と言って、通話を切った。
暗い部屋の中で、あたしと、一匹の狐が取り残された。
あたし達、
(、本当に、救いようないじゃん…、)
なんだこの状況。把握すればする程地獄なんだけど、何?
狐や、後ろのお兄さん達は、皆…こんなにボロボロにされてて、突然別世界のあたしが前の主人と入れ替わって、…結果、彼らは消滅して、あたしは帰れない。
ほんとになにそれ。
「…、」
___元の世界に戻れる可能性は、大変低いです。
「……、っ」
もう限界だった。
あたしの両目からぽたぽたと涙が落ちた。
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ゆり - 面白かったです!!続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(>人<;) (2022年5月4日 17時) (レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです!特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております! (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品!続き、楽しみに待っております! (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか?気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません!教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます!!!絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので!!! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥 | 作成日時:2020年1月29日 3時