13 ｢消滅、ということに、｣ ページ13
｢こんのすけ｣
｢…、はい｣
電話向こうの政府の役人さんは、帰ることで頭がいっぱいのあたしじゃなく、会話の相手を隣にいた狐に変えた。
狐はもう、今ではその息をぜえぜえ、という大きいものに変えていて、流石にあたしでも、応急処置とかしなくて大丈夫？と思わずにはいられなくなってくる。もちろん、あのお兄さんだって。
あたしの心は今やどんどん希望を無くして冷え始めていた。
政府の人あたしのこと帰すの難しそうというか、……渋ってるもん、
｢貴方からの信号を受信していますが、かなり朧気で曖昧な部分があります。…相当弱っていますね？｣
｢…申し、訳｣
｢いえ、気付けなかった、こちらの落ち度です。しかし僅かな電波から分かる範囲ですらこの荒廃度…昨今問題になっているブラック本丸ですが、…発見されたこれまでの内でも滅多に見ない穢れを感知しています｣
狐はぎゅっとその後言われる言葉が想像出来たのか、眉根を強く寄せた。
｢大変申し訳ありませんが、そちらに役人を派遣することは出来ません、…殺されてしまうので｣
｢…いえ、…、承知しておりました…、｣
狐と役人さんとの会話の内容が、殆ど把握出来ないままだけど、何やら、良くないことが決定されてしまったことは確からしい。｢ということは、｣と狐が続けた。
｢この本丸は、消滅、ということに、｣
｢…｣
(消滅…？)
え？
その言葉の意味は分かる。そしてさっき受けた大方の説明から、“本丸”とは、この屋敷や、土地全体のことを指すってことも。
そしてそこを拠点に、何か分からんけど敵と戦っているのが、さっき気絶してしまったお兄さんや、この狐、そしてそれらを束ねるあたしなんだと。
束ねる、とか敵とか、未だに全然分かってないけど、本丸の消滅ってことは、
｢、ここ、全部、消えちゃうってことですか？｣
役人のお兄さんも狐も黙ったままだ。
あたしの脳内で、大きいビルが崩壊するイメージが浮かぶ。
｢あの、でも、あのお兄さんとか、この狐さんは助けて頂けますよね…？すごい、怪我してるんです、｣
｢申し訳ありませんが、｣
｢、｣
｢簡潔に言います。貴方の後ろに倒れている二振り含め、その本丸にいる…凡そ六十の刀剣男士達のように、ブラック本丸で穢れてしまった彼らは、人間を酷く恨んでいます。つまり、助け出そうとする人間でさえ、関係無く、彼らに殺される可能性が非常に高い｣
彼らは、と役人さんが続けた。
｢本丸ごと、消滅します｣
14 ｢可能性は、大変低いです｣→←12 ｢ブラック本丸を感知！！｣
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ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
