刀剣乱舞 -私はブラック審神者らしい-

34 ｢桃缶｣ ページ34

いやあもうほんと最低だな前のヤツあたしほんと無理嫌い、あたしと入れ替わっちゃってあたしの元の世界に前のヤツが行っちゃって、めちゃめちゃなことしてたらどうしよう〜と考えたくないことを考えながら、この時代のポテチみたいなのを食べてた。


電気の場所も教えてもらった。どうやらもう時間的には夕暮れみたいだ。気になる資料『審神者の基本職務』『本丸図解』『刀帳』も、パソコンの据えられた長テーブルに置いた手前で、うま、と思いつつひとまず食べる。


ポテチは時代を超え愛されているらしい。
だって味変わんないもん、2000年代で味を極めた日本お菓子会社有難いな、凄いと思いながらこんのすけさんにも試しに｢食べる？｣と聞いたけど｢！？い、いえ！｣と仰天されながら拒否された。


｢こんのすけさんてお腹減らないの？…あ、そういえば、刀剣男士さん達もお腹って空くの？｣
｢…食べずにいても平気、というのが答えですが、…空腹というものが無いわけではありませぬ。飢餓、という状態にはならぬのが人との違いです｣

ほう。ということは、

｢……こんのすけさんお腹空いてない？｣
｢は、え、いや、私めは、べ、…！別に大丈夫でございますので…！｣
｢流石にポテチはちょっとね、…それともこんのすけさんてやっぱり何でもって訳にはいかない？｣
｢い、いえ、私めは管狐でありますので、ひ、人と同じものなら基本何でも…って、そうではなく！｣

もうこの狐さんがとんでもなく遠慮魔だということは分かっている。立ち上がり冷蔵庫に再び向かうあたしをこんのすけさんはまたあたふたと見守っていた。


｢んー調理場あればなー。どっかにあるんだろうけど出れないし、とりあえず桃缶にしよっか｣


お皿お皿、とまた物色し、手頃な大きさのお皿を手に入れると、2つの皿にそれぞれ3つずつ分ける。


｢よいしょ｣


前に置かれた桃缶を凝視し微動だにしないこんのすけさんに、あれ、と嫌な予感がする、


｢こんのすけさん、…？｣
｢…｣
｢！あ、もしかして桃缶嫌いとか…！？うっわごめん、あたしついつい、どうしよ、あ、他にオレンジあったけど、そっちにする？｣
｢…｣
｢…、こ、こんのすけさーん…？｣

こんのすけさんはふるふると首を横に振って、ちがいます、と小さく呟いた。


｢この本丸に来て、初めて食べ物を頂けたので…｣
｢………はあ！？」


余りの衝撃発言に、速攻冷蔵庫へダッシュして、ありったけの食べ物をひっつかんだ。

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