30 (なんでそんなことすんの、) ページ30
お願いします、とあたしにただひたすら懇願していたイケメンお兄さん、もとい、一期一振さんを鮮明に思い出しながら、噛み合っていくその様子と理由に、
「、っ、」
本格的に吐きそうになって、ばっと口元を手で覆った。
一瞬口内に胃液の味が広がったけど必死に堪えた。
(折れる、ってことは、死ぬってことでしょ、?)
こんのすけさんの口調から安易にその意味合いは図られた、…つまりあの一期一振さんは自分の弟を自分の手で、こ…殺したってことになる、
お願いします、って言ってたのは、つまり、
__、お願いします…っ、!
助けてください、折らせないで下さい、治してください、もう折らないで下さい、自分じゃなく弟を助けてください、もしかしたら、自分を代わりに、とも、
彼は思ってたんじゃないだろうか、そういう意味の「お願いします」だったんじゃないか、そう考えると本当に気持ち悪くて、本当に悲しくなってきて、
なんてことを、と思った。
いやむしろ、意味不明だった。何でそんなこと出来るんだ、と心底不可思議だった。どれだけ憎いとか嫌いとかいう感情を持っても、そんなこと、出来ない、
それに、お兄さんだけ生かしてる、っていうところが、気持ち悪かった。ここにいたっていうその女の、よっぽど、人をいじめて快感を覚える悦みたいな気配がして、余計に吐気が増した。
この体で、あたしと同じこの体や、声や、手や、顔で、あたしの知らん前のあたしは確実に死刑に値することを散々やってのけ、しかも、それを、隠していた。
怒り、とも違う、怒りより、やっぱりその行動や、それに伴う前の審神者の感情や考えが、理解出来なくて困惑していた。
……な、なんでそんなことしたの?
「私めを庇って、…折られた男士もおります、」
「…」
「審神者様は…、私を殺せと主命を下し、それを必死に拒む刀剣男士を容赦なく重症や破壊に追い込みました、」
なんで
なんでそんなことすんの、
「私めより、…、っ、手当や、手入れを何より先に受けねばならぬのは、今尚重症の彼らや、あの時の」
「…、」
「もう同じ記憶を持ち、顕現されることは無い、折られた刀剣男士達だったのです……、!!!」
「…」
「何故、私は何も出来なかったのでしょう、っ…!?何故彼らの代わりに、死ぬことも出来なかったのでしょう…、!!」
体を震わすこんのすけさんは、いつしか、ボロボロと泣いていた。
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ゆり - 面白かったです!!続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(>人<;) (2022年5月4日 17時) (レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです!特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております! (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品!続き、楽しみに待っております! (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか?気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません!教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます!!!絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので!!! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥 | 作成日時:2020年1月29日 3時