日本一へと ページ14
後ろから、南さんの声がかかった。
「神奈川予選、見たで。正直、1年生であそこまでのPGが居ることに驚いたわ。しかも、神奈川トップレベルの牧と互角にやり合うんはそう簡単に出来ることやない。それやからこそ、忠告しておくわ…全国は違うで。海南戦や陵南戦の様に、純粋に高め合うバスケットが出来るとは思わないことや。先に言うておく。君は俺らに勝てへん」
南さんは、言い切った。
普通、これから戦う相手にそういうこと言うか…?
少し面食らいながらも、
「まぁ…そうかもしれません、ね…;正直、あんまり勝てるとは思ってません」
はは、と苦笑いをしながら言うと、は?と、豊玉のメンバーは拍子抜けたような顔をした。
けど、俺は続ける。
「まぁ…俺だけの話、ですけどね」
「…!!」
その後、豊玉に背を向け、俺は歩き出す。
そして、あっ、と一旦止まってから、振り返る。
「明日の試合、お互い高め合えるよう、よろしくお願いします」
口元に笑みを浮かべ、俺は走って湘北の背中を追った。
夜、ちどり荘。
風呂からあがり、部屋へと戻ると、そこには楓しかいなかった。
しかも、その楓は寝ている。
「相変わらず寝るの早いな…;」
起こさないよう、物音をあまり立てずに歩く。
どうしようか考えてから、俺は外に出ると決めた。
靴を履き、ちどり荘周辺を歩く。
虫の鳴き声が聞こえ、昼より全然涼しかった。
……全国か。
中学でも出たことはあるが、やはり何度体験しても緊張する。
安西先生の言っていた、楓を日本一にする…
あの後、考えていた。
どうすれば、楓を、チームを日本一に出来るのか、と。
日本一へと''導く''…そのためには、誰より自分が一番強くならないといけない。
つまり、豊玉や山王、愛和…強豪の選手の中で誰よりも強くなれってことか…
強いからこそ、隙が無いからこそ、周りを生かせる。
大丈夫。
練習は積み上げた。
後は、その先を魅せるだけだ。
覚悟を決めたそのとき、
ピロリーン
携帯の着信音が鳴った。
俺は携帯を取り出す。
「…仙道…!」
送り主は、仙道だった。
メールを開いてみると、
『いい結果楽しみにしてる、Aなら出来る』
と、短い文が表示されていた。
「はは…短文過ぎるだろ;」
口ではそう言ったものの、内心、自信はついた。
よしっ…やってやる。
このチームを、日本一に導いてやる!
俺の顔は、自信に満ちた笑顔だった。
そして、夜の道を、ちどり荘まで走って帰って行った。
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並木町(プロフ) - すごく面白かったです! (2022年12月12日 21時) (レス) @page15 id: 0c7d654824 (このIDを非表示/違反報告)
Marinta Galaxy(プロフ) - 白い雪兎さん» スラムダンク、今年映画化するそうです!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: 59dbb8998a (このIDを非表示/違反報告)
白い雪兎(プロフ) - にこぱさん» ありがとうございます! (2020年6月15日 7時) (レス) id: 2c27ca0b28 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪兎(プロフ) - Rayさん» 遅れてすいませんでした!今日します! (2020年6月15日 7時) (レス) id: 2c27ca0b28 (このIDを非表示/違反報告)
にこぱ - 楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年6月15日 5時) (レス) id: 7f3a127dad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い雪兎 | 作成日時:2017年11月17日 22時