欠点 ページ3
打ち上げをした1週間後、練習は午後からだった。
「あ、楓!わざわざ悪ぃな、休日まで…」
「別にいい。で、話ってなんだ」
今日、俺は楓をバスケットコートに呼んだ。
「海南戦も陵南戦も…俺、まだまだ仙道にも牧さんにも敵わないって感じたんだ。楓の目から見て、どうだった?」
そう、これを聞くために楓を呼んだ。
「……………」
楓は、どこか一点を見つめてから、俺の方に向き直る。
「A…じゃなかった」
…………………ん?
一瞬、意味を理解できずに固まった俺だが、楓の言葉の続きを待った。
「…悪い意味でも良い意味でもAじゃなかった。仙道と戦ったときはあのコートの中で最強だって思わせるプレイは何回もあった。1on1だっていつものAより絶対に強かった。」
俺をじっと見つめて、いったんそこできる楓。
そこから先、楓は容赦なく話し続けた。
「けど、あの場面での良いガードではなかった」
…!!
「主将のファールも先輩の疲労もまとめて対処することができてなかったし、PGとしては気付いて早めに対処するべき。自分のプレイに集中する分、PGとしての面ではいつものAより劣ってた」
長い言葉なのにも関わらず、スラスラと言ってのける楓。
俺は、その言葉にハッとした。
そして、口を開く。
「それが…今の俺の欠点かな」
楓は何も言わずに、頷いた。
確かに、赤木先輩のファールもプレイ中に警戒することは出来たはずだし、三井先輩には2年間のブランクがあったんだから疲れを気にかけることだってできたはずだった。
けど、昔のプレイスタイルで攻め入ったことで、コートや仲間の状況を判断することができなかった…
これだと、全国には通用しないかもしれない。
全国で勝ち上がるつもりなら、PGとしてチームをコントロールすることも、自分で攻め入りスコアラーとして点をとってくることも必要だ。
そこまで考えてから、俺は楓を見る。
「ありがとう、楓。確かにPGとしての役目は果たせてなかったよな…;俺も楓に合わせられるように全国までの期間中に絶対、両立できるようにしてみせる」
そう言った俺の前で、楓はほんの少しだけ微笑んだように見えた。
朝のような昼のような時間帯に、俺達は帰り道を歩いていた。
そして突然、
「…アメリカに行こうと思ってる」
楓から、そんな言葉が発せられた。
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並木町(プロフ) - すごく面白かったです! (2022年12月12日 21時) (レス) @page15 id: 0c7d654824 (このIDを非表示/違反報告)
Marinta Galaxy(プロフ) - 白い雪兎さん» スラムダンク、今年映画化するそうです!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: 59dbb8998a (このIDを非表示/違反報告)
白い雪兎(プロフ) - にこぱさん» ありがとうございます! (2020年6月15日 7時) (レス) id: 2c27ca0b28 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪兎(プロフ) - Rayさん» 遅れてすいませんでした!今日します! (2020年6月15日 7時) (レス) id: 2c27ca0b28 (このIDを非表示/違反報告)
にこぱ - 楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年6月15日 5時) (レス) id: 7f3a127dad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い雪兎 | 作成日時:2017年11月17日 22時