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「あ、」
それらしきものが見えたので手を伸ばす
「…あぁこれ！って流川くんのじゃん」
裏表紙に書いてあるはずの私の名前がない
「これもう一冊あるはずだから」
と横を見て教科書を見せると流川くんとの距離が思っていたより近い
夢中で手を伸ばしてしまった自分がいけないけど
「…えっと、これかな」
ちょっと緊張してしまったのを誤魔化そうとすぐ棚に視線を戻しまた手を伸ばすと
「おい」
「ん？」
「Tシャツ、デケェから気をつけろ」
「え…なにが？」
「…探すから座ってろ」
「…あ、うん？」
よくわからないけど2人で探すのは近いしと思い立ち上がる
「あった」
「あ、それ！良かった、ありがとう」
ちょうど見つけた時
お母様がお茶とお菓子を部屋に運んでくる
帰るつもりだったが
せっかく用意してくれたのにと申し訳なさも感じる
「私がいたらお邪魔かと思って」
ごゆっくり〜と扉を閉めて出ていく
お母様はもしかして何か勘違いしてる気がする
「えっと…」
「課題終わらせてから帰れば、そしたら雨も止むだろ」
「…確かにそうしようかなじゃあ」
「俺の分もまとめて」
「ちょっと意味わかんない」
床に腰掛けローテーブルの上に課題を広げ
入れてくれたお茶を飲んで一息ついてから取り掛かる
「寝ないの」
目を離すとすぐ寝てるので指で頭を押して毎回起こす
「…わからん」
「どれ？あぁ、それは…」
「…説明されてもわからん」
「なんで、これ最近やったばっかだよ」
どんどん進む私と対照的に全く進んでいない流川くん
「終わった〜」
と伸びをしているとその隙に私の課題を取り写し始める
「あ、ちょっと、自分の力でやらなきゃ」
取り返そうと流川くんの方へ手を伸ばすもお構いなしに写し続ける
「返して」
私のワークを掴むと力が緩みその隙に取り返す
「もう、いい加減にしてよ」
「それはこっちのセリフだ」
「なんでよ」
そういうとまた私の教科書を手に取る
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作者名：. | 作成日時：2023年7月8日 0時
